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夕暮れに浮かぶ花

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東京都千代田区で=尾籠章裕撮影
東京都千代田区で=尾籠章裕撮影

 夕暮れ時は花が美しい。

 しのび寄る影にすべてが溶け込んで花弁だけが浮かび上がるからだろうか。花の色は、やがてかすかになって遠のいてゆく。

 小学校の2年か3年のとき、同じクラスのパン屋の男の子に誘われて、放課後、家に遊びに行った。店の裏のほうが家になっていた。何をして遊んだのか覚えていないが、その子が「お母さんのところへ行こう」と言った。なぜか、店のほうへ行けばお母さんがパンを売っていて、そこでパンを食べさせてもらえるのかな、と浅ましいことを思い浮かべた。

 ところがその子が向かったのは、近くの病院だった。小さな病院だったと思う。

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