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社説

福知山線事故から15年 安全の追求は終わらない

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 JR福知山線脱線事故はきょう発生から15年となる。乗客106人と運転士1人が死亡し、562人が重軽傷を負う大惨事だった。

 今年は新型コロナウイルスの影響で追悼慰霊式は中止となった。事故の記憶を後世に伝えるとともに、安全の誓いを新たにしなければならない。

 事故の原因は、直接的には運転士のブレーキのかけ遅れと速度超過だった。だが、その背景には懲罰的な指導や安全を軽視したJR西日本の企業体質があった。

 JR西はこうした姿勢を改め、原因究明と再発防止を最優先し、安全教育の在り方を見直してきた。避けられないヒューマンエラーは処罰しない制度を導入した。

 現場のカーブに自動列車停止装置(ATS)が設置されていなかったことも教訓にした。現在はカーブに限らず危険な場所に新型ATSを取り入れている。事故防止のため投資に力を入れるべきだ。

 事故後に入社した社員の割合は4月で初めて5割を超えた。

 長谷川一明社長は記者会見で「脱線事故の反省と教訓を若い社員に伝える必要がある」と語った。JR西労組のアンケートでも社員の75%が「事故の風化防止を意識している」と回答した。

 では事故の記憶をどう伝えるか。JR西は2カ所に分けて保管している事故車両を大阪府内の研修施設に集めて保存し、社員の安全教育に使う方針だ。

 損傷が残る車両は見る者に事故の悲惨さを生々しく訴える。社員の安全意識を高めるうえで啓発効果はあるだろう。

 車両を公開すべきかどうかは議論が割れている。1985年に起きた日航ジャンボ機墜落事故の機体は一般に公開されている。

 しかし、車両の公開は遺族らの間に反対意見も強い。結論を急ぐべきではない。

 JR西では、東海道・山陽新幹線「のぞみ」の台車枠に亀裂が生じ、乗務員らは異変に気づきながら3時間以上も走行したトラブルが2017年にあった。重大事故につながりかねない事態だった。

 安全対策は、いくら内容を充実させても、緊張感を伴わなければ効果が上がらない。安全の追求には終わりがないことを忘れてはならない。

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