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鴻巣友季子・評 『あたしたち、海へ』=井上荒野・著

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『あたしたち、海へ』
『あたしたち、海へ』

 (新潮社・1760円)

 新型コロナウイルスの影響で、息苦しい毎日が続く。外出自粛の閉鎖的な環境のなか、家庭で、地域で、鬱屈や不安からくる暴力や暴言、虐待などが増えているという。『あたしたち、海へ』は女子中学校内におけるいじめを題材としている。その中核にある行動原理は、閉ざされた共同体の同調圧力と排他意識である。

 同じ学園に通う「瑤子」「有夢」「海」は同じ新興住宅地に住み、小学校のころからの幼なじみだ。ところが、海だけがべつの町の公立校へ転校することになる。原因は、ダンス部のボス女子率いるグループによるいじめ。正義感が強く、空気を読む、忖度(そんたく)するということをしない海は、自分と異質なものを恐れる同質集団にとっては、脅威となる存在だ。転校後も、三人に対して陰湿ないじめが執拗(しつよう)に続行する。

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