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(新潮新書・858円)
中立的な立場から束の間の友情を描く
終戦直後、日本が直面していた大きな問題の一つは海外邦人の引き揚げである。中国に取り残された日本人の大半は、蔣介石の中華民国政府の協力で帰国を成し遂げた。しかし、国共対立とそれに続く内戦により、まだ多く取り残されていた。大陸を掌握した共産党中国とは外交関係を樹立していなかったため、邦人の引き揚げは中止を余儀なくされ、戦後復興期を迎えても、なお進展がないままであった。
一九五三年の春、状況が大きく動き出した。三月中旬、四九三七人を乗せた第一次帰国船が京都の舞鶴港に到着し、その後、帰国者は次々と日本に戻ってきた。
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