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苦しむ男性に「耐えて。本当に死にそうになったら電話して」コロナで埋まる病床

管理部門の部屋に置かれたホワイトボードには、感染者を受け入れる「コロナ病棟」の現状が刻々と更新されている=福岡県内で2020年4月17日午前8時42分、平川昌範撮影

 院内感染防止のため窓が開け放たれた会議室に、マスク姿の医師や看護師らが消毒液を付けた手をもみながら次々と入ってきた。24日午前9時、福岡県内のある総合病院で、定例となった新型コロナウイルス対策会議が始まった。

 「昨日も新たな症例の人が入院しました。今後も増えてくると思われるので、診療体制を見直したい」。院長がおもむろに口を開く。この病院は感染症指定医療機関ではないが、4月に入ってからコロナ患者の受け入れを始めた。

 「職員を感染から守りたい」。「しかし、うちが受け入れなければ医療崩壊の原因になる」。これ以上患者を受け入れるべきなのか。約40分間の対策会議の席上、現場からさまざまな声が上がり、張り詰めた空気のまま医師らは持ち場に戻っていった。

 「コロナ病棟」。この病院では、コロナ患者が入る区域をそう呼ぶ。仮称だが、管理部門の部屋に置かれたホワイトボードにもしっかり「コロナ病棟」と書かれ、患者数が随時更新されていく。受け入れ患者を増やせるよう「病床数」を順次増やしているが、「稼働数」がすぐに追いつく。

 増え続ける患者への対応に職員は疲弊している。医療資源も足りていない。医療用マスクは節約のため洗浄して天日干しにし、再利用している。防護具のガウンも足りないが、はっ水加工されたかっぽう着の在庫が院内で見つかったため、代用できないか検討中だ。

 1週間前の朝のカンファレンス(会議)では医師の一人が「現状の施設で受け入れを進めるのは限界があるのでは」と指摘した。患者を増やすには、医療器具を洗浄する設備を改修する必要がある。院長は「緊急事態宣言が出て以降、工事業者の協力が得にくい状況だ。対応策を練っている」と答えた。

 福岡県内の患者数は23日現在574人。「受け入れ先がない人が次々に出ている。医療現場は混乱している」。院長は語る。「あと2、3日遅かったらまずかったケースもある」。16日に退院した会社経営の男性(38)もその一人だった。

病状悪化でも入院断られ

 新型コロナウイルスに感染し、福岡県内の総合病院に4月9日から16日まで入院していた会社経営の男性(38)が発熱し、味覚や嗅覚もなくなったのは同月4日のことだった。かかりつけ医を受診すると「風邪かもしれないが、3日間治らなかったらコロナかも」と言われた。

 3日たっても熱が下がらなかったため、電話でもう一度かかりつけ医に相談する…

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