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余録

江戸時代といえば…

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 江戸時代といえば、庶民が旅をする場合は通行手形を持たねばならず、「入(い)り鉄砲(でっぽう)に出(で)女(おんな)」などと人の移動が厳しく制限された社会のイメージがある。それでは、次のような記述はどういうことだろうか▲「この国の街道には毎日信じられないほどの人間がおり、二、三の季節には住民の多い欧州の都市の街路と同じくらいの人があふれている」。これは長崎のオランダ商館長の江戸参府に同行したドイツ人医師、ケンペルの観察である▲「二、三の季節」とあるうちの一つは春で、街道は伊勢参りの人々でにぎわった。伊勢参りをはじめ寺社参詣(さんけい)が理由ならば、旅も簡単に許されたのだという。こんな旅好きだったご先祖をもつ身には何ともつらい新緑の季節となった▲新型コロナウイルス封じの「ステイホーム」の呼びかけが交わされるゴールデンウイークである。ケンペルの記述を思い出したのは、先日のビーチなどの人出を見たり、全国知事会による国道の通行規制の提言を聞いたりしたからだ▲航空会社の予約では期間中の来訪者が6万人余という沖縄県は、知事が改めて来県の自粛を呼びかけた。離島の多い沖縄をはじめ、医療体制に余裕のない地方では、感染の拡大が深刻な医療崩壊につながるのは誰でも分かる話である▲「今は夢見よう。旅は後にしよう」は、スイス政府観光局の呼びかけという。お上をよそに街道をにぎわせた旅好きの血の騒ぐ向きもあろうが、旅を愛すればこそ、今は家で遠い土地への夢をはぐくむ時である。

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