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社説

国債購入の上限撤廃 歯止めなき政策の危うさ

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 非常時とはいえ、中央銀行が国の借金を丸抱えするような政策には危うさがつきまとう。

 日銀はきのうの金融政策決定会合で年80兆円と定めていた国債購入額の上限を撤廃した。コロナ禍が続く間、無制限で購入する。

 政府はコロナ感染拡大を受けて緊急経済対策を決めた。財源として20兆円を超える国債が増発される見込みで、日銀の決定は長期金利の上昇を抑える狙いという。

 脱デフレを掲げる日銀は2013年春に大規模な緩和策を導入した。追加緩和を繰り返し、国債購入上限を80兆円まで引き上げた。

 ただ、足元の国債購入額は年10兆円台にとどまっていた。上限を維持しても政府のコロナ対策に対応できる余地は十分あった。

 にもかかわらず、上限を撤廃した理由を、黒田東彦総裁は「(国債を)必要なだけいくらでも買う姿勢を明確にして経済を強力に下支えするためだ」と説明した。

 感染拡大で経済活動の自粛が続く中、国による一層の支援が求められているのは確かだ。米連邦準備制度理事会(FRB)も先月、米国債を無制限に買う緊急措置を決めた。米政府が打ち出した2兆ドル超の経済対策の財源手当てを支援するのが目的だ。

 だが、すでに国債発行残高の約4割を抱える日銀とは事情が異なる。日銀は以前から先進国中最悪の財政状況にある政府の資金繰りを強力に支えてきた。

 中央銀行が青天井で国債を引き受けて政府の赤字を埋める「財政ファイナンス」は本来、禁じ手だ。通貨の信認が失われ、極端なインフレなどの弊害を招くためだ。

 政府から直接、国債を引き受けていないことを理由に日銀は「財政ファイナンスではない」と強調している。だが、日銀頼みの財政運営が行き過ぎれば、実態は禁じ手に近づく。政府は追加対策で真に国民の支援に効果があるものを精査すべきだ。

 大規模緩和の根拠とされた脱デフレも揺らいでいる。日銀は22年度でも物価上昇目標の2%に達しないと予測した。黒田総裁任期中の達成は困難との内容だ。

 コロナを理由にするが、長年の大規模緩和でも達成できないのは問題だ。収束後には金融政策の枠組みを見直す必要がある。

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