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「コロナ理由に訪問拒否」も 潜在化する虐待、児相職員の危機感

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今年4月に開設した東京都江戸川区立児童相談所に併設された一時保護所。子どもたちが夕食後に過ごすリビング(手前)を囲むように、個室が配置されている=東京都江戸川区で2020年3月24日午後1時33分、川村咲平撮影
今年4月に開設した東京都江戸川区立児童相談所に併設された一時保護所。子どもたちが夕食後に過ごすリビング(手前)を囲むように、個室が配置されている=東京都江戸川区で2020年3月24日午後1時33分、川村咲平撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大で、各地で休校や休園が長引く中、子どもたちへの虐待の増加が懸念されている。厚生労働省は、児童相談所(児相)が状況把握に努めるよう都道府県などに通知したが、実際は容易ではないようだ。中部地方の児相職員が匿名を条件に毎日新聞の取材に応じ、「頼みの綱だった学校や保育園からの通報が途絶えた上、新型コロナを理由に家庭訪問を拒否する保護者も相次いでいる」と証言。「虐待の兆候がつかめず、重大なケースが突然表面化しかねない」と危機感を募らせる。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

一斉休校で学校からの虐待通報が激減 「見守り機能」が崩壊

 この職員は保護者や子どもの相談に乗る児童福祉司として10年以上の経験がある。現在は主に、過去に虐待を受けたことがあるなど、継続的に見守りが必要な子どもやその保護者を担当。月に1回は家庭訪問か、児相で面会をし、異常がないか確認している。

 3月に全国一斉休校となってから、職員が勤める児相では学校から寄せられていた虐待の通報がほとんどなくなったという。平時であれば教師が「体に傷やあざがある」「汚れた服を着ている」など虐待を疑わせる異変に気付いて連絡してくるケースが多い。4月に入ってからは保育園も休むところが増え、保育園からの通報も途絶えているという。「学校や保育園は、毎日子どもに接しているため虐待の兆候をキャッチしやすく、情報の信頼性も高いのです。その『見守り機能』がなくなった影響は大きい」。そのためか、緊急対応として保護する子どもが少なくなり、いつも満杯の一時保護所が定員の半分以下になる異例の事態も起きた。

「イライラして虐待しそう」 家庭訪問を拒否する高リスク家庭も

 ただ、4月中旬以降、保護者からのSOSも目立つようになった。元々児相が「虐待リスクが高い」と認知している家庭の保護者が「子どもがずっと家にいてイライラしてしまう。手をあげそうになるので預かってほしい」と訴えるケースが相次いでいるという。それに伴い一時保護も徐々に増え、今はほぼ満室の状態に戻ったという。

 「自分から助けを求めてくる保護者はまだいい。問題は、もともと児相と関係が築けていない高リスクの家庭に、入り込めていないことなんです」

 実は、見守りが必要な保護者に「新型コロナに感染する恐れがあるので」と家庭訪問や児相での面会を断る人たちが増えているという。「新型コロナは言い訳で、家に立ち入られたくないという思いから断っているとみられるのですが、そう言われてしまうと無理に対面を求めることもできません。そういった家庭の中で何が起きているのか、全くつかめない状況なのです」

感染防止のため十分な聞き取りできず 兆候見逃す恐れも

 通常、家庭訪問では家の中に入り、30分~1時間程度かけて保護者、子ども双方に近況を聞く。その際に部屋の様子を見て生活が荒れていないかをチェックしたり、保護者の子どもに対する態度を見て虐待の危険性がないかを判断したりしている。それができないと、重要な兆候を見落とす可能性があるという。

 この職員が勤務する児相では、家庭訪問が必要…

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