「女・男の気持ち」(2020年4月23日~29日、東京・大阪・西部3本社版計19本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版29日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
目をこらせば
千葉県習志野市 前田ちはるさん(主婦・39歳)
新型コロナウイルスの流行で始まった自粛生活もはや2カ月。初めはストレスばかり感じていたが、最近はそうでもないと思えるときがある。
8歳の長男はお手伝いのアルバイトを始めた。ご飯炊き1円、ごみ捨て5円、風呂掃除10円。頑張ったぶんだけ数字が増えていくお小遣い帳を眺めて、ニヤニヤが止まらない。おかげで暗算が得意になった。
5歳の次男は毎朝、ラジオ体操に大張り切り。テレビに出るレオタード姿のお姉さんを好きになったからだ。体操中、ニヤニヤが止まらない。お姉さんに会うために早起きし、硬かった体はグニャリと軟らかくなった。
2歳の長女は、在宅勤務中の夫と兄2人から溺愛され、ニヤニヤが止まらない。「だーいしゅき!」と不意打ちのハグで男性陣はメロメロ。愛される喜びを知り、人なつっこい性格になった。
子どもたちとお風呂に入るのが何より楽しみな夫は、毎日ニヤニヤが止まらない。はしゃぎすぎて、私が入浴するときにはお湯がない。お湯が減るほど楽しんだのだと思うと、これもまた幸せだ。
「母ちゃんを休ませよう」という家族の計らいで毎日、朝寝坊という最高のプレゼントをもらっている私。何年ぶりの朝寝坊だろうか。夜寝る前から、ニヤニヤが止まらない。
窮屈な自粛生活も、目をこらせば幸せが転がっていた。
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<担当記者より>
長引く自粛生活。「女・男の気持ち」にも、戸惑う声が多く寄せられるようになっています。
先日、「仕事が休みになり自宅でじっとしている」という内容の投稿を掲載したところ、「仕事を休んで生活できるのだから、この投稿者は恵まれている。こんな投書を載せるのはおかしい」とのご意見をいただきました。また、「趣味のサークルやボランティアができず家にいる」という内容を書いてくださった方にお電話すると「こんなのんびりした話を送っていいものか、正直迷った」と話してくださいました。
現在も、さまざまな事情で外に出て働かざるを得ない方々はいらっしゃいます。一方で、「ステイホーム」ができる方は、どうぞ堂々とご自宅にとどまっていただきたいと思います。感染をこれ以上広げない行動が、医療従事者の方々を応援し、支えることになるのです。一人一人がそれぞれの立場で頑張り、お互いを尊重できればいいのですが。これからも本欄では、さまざまな立場の方の「気持ち」をていねいに紹介したいと考えています。
前田さんの幸せ探しの投稿は明るく前向きで、担当記者にとっても救われる思いでした。ちなみに我が家のお手伝いの報酬も同額(ごみ出し1回5円)。親近感がわきました。
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