メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

心の眼

人がやさしい街=点字毎日記者・佐木理人

 電車のとてつもない力に引きずられながら、私は「もうだめだ!」と死を覚悟した。薄れそうな意識の中、思い浮かんだのは両親や友人らの声だった。

 1995年、私は地下鉄のホームを白杖(はくじょう)を使って歩いていた時、動き出した電車と接触し、数メートル飛ばされた後、十数メートル引きずられ大けがをした。左上腕と左大腿(だいたい)骨を粉砕骨折し、頭を33針縫った。病院に駆け付けた両親から「2日間意識がなかった」と知らされた。左足が2センチ短くなり、25年たった今も体が冷えるとチタンのプレートが埋め込まれた手足が痛む。

 半年近く病院のベッドに横たわりながら、ずっと頭から離れなかった光景がある。ホームの端に向かっていると気づかず歩を進めていた私は、そばをすれ違う何人かの気配を感じた。しかし、呼び止められることはなかった。電車に引きずられながら「自分は社会から見捨てられたんだ」と悲しくなった。

この記事は有料記事です。

残り439文字(全文833文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 腹の虫がおさまらない?マメガムシ食べられてもカエルの尻から脱出 神戸大

  2. 療養ホテル、沖縄は1カ月半「ゼロ」 菅氏が批判、知事は「予想より早く感染者増えた」

  3. 療養ホテル確保数「ゼロ」の沖縄に不快感 菅氏「何回となく促した」

  4. ベトナムで感染力強い型のコロナ流行か 首相「拡大防止へ重要な時期」

  5. ORICON NEWS 香取慎吾「こんなにテレビ出れないか」独立から3年のホンネ 草なぎの大河出演にガッツポーズ

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです