スポーツ人が、競技や業種、国や地域を超えてつながるオンライン対談企画「#ウェブでつながる」。東京オリンピック柔道男子100キロ級代表のウルフ・アロン(24)=了徳寺大職=と、人気料理愛好家の平野レミさんが4月30日、テレビ会議システム「Zoom」で初顔合わせした。「シェフ料理」ならぬ「シュフ料理」をモットーとする平野さんと、繊細な手つきで「男の料理」に凝るウルフ。レミ節全開、秘伝レシピ公開にウルフがメモを取る場面もあった。(記事下に対談の動画があります)【構成・浅妻博之】
――平野さん、おなじみのお面姿で登場です。
平野 私の顔がどんな顔か分からなくて、気持ち悪いでしょ。今自宅なのですが、家庭にいる時はすっぴんで何も化粧しない。化粧が大嫌いなのよ。すみませんね。
ウルフ 大丈夫ですよ(笑い)。
――ウルフ選手の趣味は男の料理。得意料理は。
ウルフ 肉や刺し身などいろんな種類の料理が好きです。最近はローストビーフに凝っていて、作り方は動画投稿サイト「ユーチューブ」にも上げています。魚を三枚におろしたりするのは自分でもよくやるようにしています。
平野 こんなに大きな体で小魚を三枚におろしたりする姿を想像するとおかしくなっちゃう。大きな手で小さな魚を三枚におろしたりとかよくできますね。
ウルフ 小さい魚もさばきますが、最近は10キロのブリもさばきました。アジのなめろうも作りましたよ。
平野 すごいじゃない。
――ウルフ選手の料理のこだわりは。
ウルフ 肉を焼く時にステーキ用の肉は赤ワインにつけたりとか、牛タンであれば脂の部分と筋っぽい部分で分けたりとか、食べる時にどうしたらおいしくなるかを考えるようにしています。
平野 失敗談は。
ウルフ 炊き込みご飯を作る時に水の分量を間違えて、おかゆっぽくなったことはあります。
平野 失敗したほうが今度は頑張ろうと思う。料理は失敗を恐れないことが大事。
ウルフ 失敗から学べることは多いのでプラスに考えてやるようにしています。
平野 私も若い頃に豚の角煮を作ろうと思ったの。豚の角煮っておいしくて、箸ですっと切れるほど軟らかいでしょ。それで砂糖やしょうゆ、みりんなどの調味料を入れて作るが、どんどんカチカチに硬くなっちゃう。なんで硬くなるんだろうと思って、三枚肉の塊を買ってきて何度もやってみた。分かったのは、最初に豚肉をコトコト煮て、軟らかくしたところに調味料を入れると、食べる時にすーっと箸が入っていく。
ウルフ そうですね。
平野 その時に思ったのよ。男の人と女の人の関係に似ていると。男の人が女の人に「好きだよ」と言っても、女の人がその人を全然好きでなければ気持ちは固くなってしまう。女の人の気持ちが「あの人ちょっといいわね」と思ってやわらかくなっている時に男の人から「好きだよ」って言われると、「私も」って受け入れ態勢が万全になる。男と女の関係と豚の角煮は似てるのよ。
ウルフ なるほど。豚の角煮から恋愛を学べるってことですね。料理から恋愛を学ぶことができる。
平野 それは本にもどこにも書いてない。自分で実践しないとだめ。何でも軟らかくしてから調味料を入れるようにした。そしたら何でもうまくいくわよ。
ウルフ 僕は料理の素人なので、料理する時に心掛けていること、気をつけたほうがいいことがあれば教えてほしいです。
平野 唐辛子や塩、こしょうの分量さえ間違えなければとりあえずはできる。料理は大きな気持ちで。最初から分量通りなんて絶対うまくできない。きんぴらごぼうでも買ってきたものより、自分で作ったほうがおいしい。お茶1杯でも家でいれるとおいしい。それは愛情という心が入っているからそう感じると思う。
ウルフ やっぱりそうですね。自分で作ったほうがおいしく感じますね。
平野 おいしく感じるでしょう。調味料プラス愛情が入っているからかな。愛情という調味料が入っている。ちょっといいこと言っちゃったかな。
ウルフ そうですね(笑い)。
――料理を突き詰めてしまうことはありますか?
平野 どこかお店で食べて「おいしいな」と思うと家に帰ってきて「よし同じの作っちゃおう」と何度もやっちゃう。今頑張って、もうちょっとのところまできているのは豚の角煮。調味料にしょうゆ、紹興酒、蜂蜜、砂糖を入れるんだけど、分量によってがらっと変わってしまう。紹興酒を入れると豚の臭みが取れておいしくなる。豚の角煮が好きでね。牛肉は高いから。
ウルフ そうですね。
平野 牛肉はどこで買うの。
ウルフ スーパーでブロックで買うけど、血抜きがしっかりされていない牛肉は1回塩水につけて浸透圧で血を抜いたりもします。ローストビーフを作るときは、心掛けています。
平野 ローストビーフは肉を常温にしてから塩、こしょうだけして、そのままフライパンに転がして焼いちゃう。レアな感じにして蓋(ふた)をして、火を止めてそのままにしておくと、余熱で中まで火が通って血が出そうで出ないような感じになる。それがおいしい。血を抜きすぎると、パサパサになってしまっておいしくなくない?
ウルフ いいお肉であればいいですが、肉の血がだいぶ古い血になっています。いい肉の時にやってみます。
平野 私が考えた「レミパン」というフライパン欲しくない? それでやるとローストビーフがめちゃくちゃおいしくできる。
ウルフ 欲しいです。
平野 あげるわね。すごく良いわよ。
――ウルフ選手はローストビーフで…
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毎日新聞東京本社運動部。1982年、新潟市生まれ。スポーツ紙で校閲業務をして、2007年入社。山形支局、東京運動部、大阪運動部を経て、18年10月から東京運動部でテニス、バスケット、カヌーなどを担当。リオデジャネイロ五輪も現地取材して、テニス取材も全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会を制覇した。高麗人参エキスを毎朝飲んで、健康維持を目指す。
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