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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 596 リュウグウの科学(その4止)

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微惑星形成 シナリオ作りに貢献

 現在の太陽系科学では、私たちの太陽系ができたプロセスの大筋を、次のようにとらえています。

 恒星(こうせい)が宇宙のあちこちにできると、その間の宇宙空間にガスやチリが薄(うす)くまばらに存在しています。これらのガスやチリが濃(こ)く集まっているところを「星間雲(せいかんうん)」とよび、広大な星と星の間のあちこちにあります(写真)。

 実はその星間雲の中で、ガスやチリが濃く集まっていくと、その大きなかたまりは、お互(たが)いの引力でさらに縮んでいきます。そしてついには最も重いかたまりを中心にして、その周囲に薄(うす)いガスやチリがぐるぐると回転している「原始太陽系星雲」と呼ばれる円盤(えんばん)ができます。円盤の真ん中にあるかたまりは、やがて中心で核融合反応(かくゆうごうはんのう)が始まって恒星(原始太陽)となり、残された円盤の中ではガスとチリが複雑な動きをしながら大きくなっていき、直径10キロくらいの小さなかたまりが無数に生まれます。これが「微惑星」と呼ばれている惑星(わくせい)の卵です。

 微惑星は衝突(しょうとつ)することで、合体したり壊(こわ)れたりを繰(く)り返(かえ)しつつ次第に大きなかたまりに成長して「原始惑星」が誕生し、それが母体になって、現在の太陽系の姿になっていったと考えられているのです(図1)。

 ガスやチリから無数の微惑星が生まれるプロセスというのは、もちろん誰(だれ)も見たことがないし、世界のだれも、実際に実験や分析(ぶんせき)で裏づけることがまだできていません。探査機の初代「はやぶさ」と「はやぶさ2」が訪れた小惑星(しょうわくせい)イトカワとリュウグウのサンプルの研究からは、まさにこの太陽系誕生の重要な段階を裏づける証拠(しょうこ)を得ることができそうなのです。これまでのリュウグウの観測からは、次のような形成の順序が浮(う)かび上(あ)がっています(図2)。

 ★ふわふわのダストが集まって成長し、微惑星が無数にできた。

 ★スカスカな状態の微惑星は密度が低いが、さらに成長していき、スカスカのまま集まってかなり大きな母天体ができた。母天体の中心部は、圧力が大きいから密度が高い。

 ★そこへ活発に飛び回っている天体の一つが衝突して、母天体が破壊(はかい)された。母天体の外側の物質は飛び散り、中心部の少し密度の高い物質も露出(ろしゅつ)した。

 ★飛び散った岩の塊(かたまり)が引き合って、再び集まり隙間(すきま)の多い天体(ラブルパイル天体)ができた。大部分はスカスカの岩塊だが、密度の高い物質も混じっていて、表面に露出した。

 ★この天体の自転は比較的(ひかくてき)速く、赤道付近が膨(ふく)らんだ「そろばん玉」のような形状となり、その後、何らかの理由で自転が遅(おそ)くなり、軌道(きどう)も変化し、現在のリュウグウとなった。

 「はやぶさ2」のカプセルが帰還(きかん)すると、さらに詳(くわ)しい研究がされるでしょう。早く無事に帰還してほしいですね。(完)


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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