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余録

「読書」とはどういうことか…

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 「読書」とはどういうことか。「ひとりで黙って読む。自発的に、たいていはじぶんの部屋で」。「読書と日本人」(岩波新書)の著者、津野海太郎(つの・かいたろう)さんは記す。では、そういう読書はいつ始まったのか▲「源氏物語を第一巻から、誰にも邪魔されず、几(き)帳(ちょう)の中にこもりっきりで、一冊一冊取り出して読んでゆく心地、もう后(きさき)の位だって問題じゃないと思うくらいでした(現代語訳)」。この更級日記(さらしなにっき)の一節が日本での最初の記録という▲筆者の菅(すが)原(わらの)孝標(たかすえ)の女(むすめ)の13歳の記述である。その150年前の菅原道真(みちざね)の随筆には、大学者なのに一人静かに書物に集中できる場所がないのを嘆いている。部屋にこもって、思うがままに本を読む幸せが記されたのは歴史的事件だった▲こちらはコロナ禍という歴史的事件によって半ば強いられた「巣ごもり読書」である。今や通勤電車でも本に集中できる現代人だが、図らずもゴールデンウイークをまるまる几帳ならぬ自室にこもっての読書に費やせることになった▲コミックや学習参考書のほか、資格取得関連本が売れる巣ごもり下の書籍事情という。コロナ後に備えた個々の身構えをうかがわせるが、古典や最新の思想書など日ごろ手の出にくい本を通してコロナ後世界を占ってみるのはどうか▲人類の知恵の貯水池におもりを垂らして未来を探る読書の体験である。いや、私はちょっとそれは……という方は、むろん寝転がって、気になっていた物語を楽しんでもいい。后の位も目ではない幸福は今もある。

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