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感染拡大続くイギリス、医療現場や生活の状況は 日本人看護師に聞く 新型コロナ

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オンラインでインタビューに応じるピネガー由紀さん
オンラインでインタビューに応じるピネガー由紀さん

 新型コロナウイルスの累積感染者数が17万人を超え死者数も約2万7000人(1日現在、米ジョンズホプキンズ大まとめ)と感染の拡大が続く英国。医療従事者の負担は大きく、地元メディア、ナーシング・タイムズの調査では、看護師の9割がストレスを感じ、3割が心理状態を「悪い」と回答している。英国中部にある国営の国民保健サービス(NHS)病院で新型コロナ患者をケアする日本人看護師、ピネガー由紀さんに現場や生活の状況を聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

突然降ってきた「コロナ担当」

 ――新型コロナ病棟担当になった経緯を教えてください。

 ◆4月に入って勤務するよう言われました。それまでは外科部門にいたのですが、スタッフの全員がコロナ病棟担当になるという通告でした。選択肢はなく、家族もいるので辞めるわけにもいかず、ショックや心の葛藤がありました。

 勤務開始前に1週間ほどの余裕がありました。研修も行われましたが、心の準備をするにあたっては、家族や同僚とじっくり話せたことが大きかったと思います。夫は、私が医療者である以上、あり得ることとは思っていたようですが、異動指示が出たことを話すと「分かった。どうやって感染防止をやっていこうか」と前向きな話をしてくれました。

 同僚とは、家族の反応を聞いたり、不安や怖さ、選択肢を与えられなかったことへの怒りなどお互いの心の内を吐き出しあったりして、任務に向けて気持ちを落ち着かせることができたように思います。

 研修はオンラインと対面で合計3日間ほど受けています。感染回避手順のウエートが大きかったですが、急変時の対処の仕方や、電子カルテや電子機器の扱い方なども含まれていました。亡くなった患者さんの遺体を感染防止のため「ボディーバッグ(遺体袋)」に入れる手順もありました。

さまざまな背景の医療従事者が集結

 ――同僚の方々や勤務の様子は?

 ◆配置換えになった看護師の中には「病棟を担当するのは21年ぶり」という人もいました。医師は現在、4割弱が内科で、他は眼科や口腔(こうくう)外科など、さまざまな背景の人たちが集まっています。新型コロナウイルスへの対処に関してはよく分からないところもありますが、病棟内でサポートも得られます。お互いに励まし合おうという雰囲気もあり、これが気持ちの支えになっているところはあります。

 病棟勤務は2、3交代制です。患者さんで特に心配なのは、病状が急変する場合があることです。朝は全く正常の数値だった人でも、数時間後には熱が急上昇して血中酸素濃度が低下することがあります。

 新型コロナ感染症による呼吸器疾患だけに集中していればいいというわけでなく、基礎疾患が影響していろいろな症状が出る場合があるため、患者さんの全体の状態に常に注意を払っておかねばなりません。

 4月初旬から新型コロナ担当になり、これまで2回病棟を変わりました。担当する患者の数は4~8人で、看護助手も付くので、1人で8人を見る外科病棟よりは、配置は手厚いのだと思います。

 感染回避のための手順はきちんと決められています。緊急で点滴を指示され、患者さんの病室から出る際にはマスクやガウンなどの個人防護具(PPE)を外し、(点滴する)薬液を入手し、再度の入室時には新たに防護具を身につける、といったステップを踏む必要があります。

 私の病院では、病棟や集中治療室(ICU)で必要とされるPPEは足りています。知人が勤務する病院では足りないところもあるようです。

スーパーで値引き、感謝の言葉 社会の支援手厚く

 ――英国では医療従事者への社会的支援が手厚いと聞き…

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