今回は乱歩の小説としての絶筆である、「超人ニコラ」(ポプラ社版「黄金の怪獣」)を取り上げます。「少年探偵シリーズ」として書かれ、1962(昭和37)年に雑誌「少年」に連載されました。乱歩は、この年、パーキンソン病にかかり、体がかなり不自由になっていたそうです。けれども、この小説は、絶筆にふさわしく、良くまとまった内容になっています。ただ、1930(昭和5)年に乱歩自身が書いた、「猟奇の果」の設定が使われています。
それではストーリーを説明しましょう。少年探偵団の団員である玉村君、松井君、吉田君の3人が、映画を見に行きました。上映中に、画面に渋谷のハチ公が映りました。そして、なぜか同じ画面の中で、玉村君がこちらを見て笑っていたのです。玉村君は確かに自分の顔だと、そのとき思ったのですが、この映画のロケに遭遇した記憶がないので、釈然としない気持ちになりました。
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