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シリーズ・疫病と人間

新型コロナの感染拡大が世界を覆っています。危機にさらされた現代社会をどう見ればいいのでしょうか。

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100年前、強毒化した第2波が襲った 寄稿・五百旗頭真(アジア調査会会長)

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スペイン風邪の患者であふれる米カンザス州の陸軍基地=1918年ごろ、National Museum of Health and Medicine所蔵
スペイン風邪の患者であふれる米カンザス州の陸軍基地=1918年ごろ、National Museum of Health and Medicine所蔵

 コロナ禍の世界的拡大を考えるシリーズの第2弾。五百旗頭真・アジア調査会会長(76)が100年前のスペイン風邪流行から教訓を探る。

 ◆100年前、強毒化した第2波が襲った すさむ世界、コロナ後の秩序再建は険し

 人類史は感染症とのおつきあいの歴史でもあった。細菌による伝染病としては、ペスト、コレラ、結核などが人類史に長く猛威を振るった。細菌よりはるかに微細なウイルスによるものとして、天然痘やエイズ、そしてインフルエンザなどがある。これらの多くは、人類の近くにすむようになった動物たちからの感染によって広がる。例えば、14世紀にヨーロッパ社会を壊滅させかねないほどに勢いのあったペストは、ねずみが宿す菌をノミがヒトをかむことによって感染した。インフルエンザにも、鳥や豚を起源とするものがあり、2002年に広東で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)はコウモリからハクビシンを経てヒトに感染した。

 ただ人類を震え上がらせた多くの感染症も、20世紀までに治療薬やワクチンが開発され、今日では多くが抑制されるに至っている。そんな中、今日なお手ごわいのが新型ウイルスである。インフルエンザA・B・C型のうち、A型は変異を起こしやすく、既存のワクチンや薬剤が効かないことが多い。1976年にアフリカで現れたエボラ出血熱、先のSARS、12年のMERS(中東呼吸器症候群)などは強毒の新型ウイルスであり、治…

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