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新型コロナ 緊急事態宣言延長 環境変化、適応難しい障害者 寄り添う保護者も消耗 /奈良

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 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が延長された。学校の休校や施設の閉鎖も2カ月と長期に及ぶ中、特に環境の変化に敏感な障害者の負担は大きく、家族らは「終わりの見えない戦い」を強いられている。現場を取材すると、ストレスで攻撃的になったり、自傷行為を繰り返したりと精神のバランスを崩す子どもたちや神経を擦り減らしながら寄り添う保護者、支援者らの姿が見えてきた。【広瀬晃子、高橋智子】

 桜井市のパート職員、有働和美さん(48)の長男仙太郎さん(16)は知的障害を伴う自閉症で、養護学校高等部に通う。休校が長引くにつれ、家族への暴言や部屋の壁紙をはがすなど言動に変化が現れた。「吐き出すことで気持ちのバランスをとっているんです」と和美さん。散歩に連れ出し、一緒に料理を作るなど気を紛らわせながら過ごすが「この状態が長引くと、学校生活に戻れなくなるのでは」と不安が募る。

 川西町の主婦(51)の三男(17)も自閉症。休校になって以降、部屋に閉じこもる日々が続く。不安になると何度もトイレに行き、手を洗う回数も増えて皮膚はボロボロ。月に数回施設に通うが、平熱が高いために来所を断られることも。主婦は「親はイライラして子に手を上げ、子は自傷行為に走るなど、悪循環に悩む保護者は多い。このままでは共倒れだ」と訴える。

 3月に養護学校を卒業した香芝市の篠原悠生(ゆうき)さん(18)は、緊急事態宣言で楽しみにしていたお別れ会などが中止に。学校に行けないまま卒業式を迎えた。母稔子さん(48)は、我慢を強いられる生活が「いつまで」と明確に言えない現状をどう伝えるか苦心する。宣言の延長を受け、「以前とは違う日常がこれからの日常なのだと、徐々に理解してもらうしかない」。万一、自身が感染した場合に備え、悠生さんの障害特性やかかりつけ医などをノートにまとめたという。

 重度障害があり、補助的に人工呼吸器を使う田村美咲さん(25)=奈良市=は、自宅での医療的ケアが欠かせない。看護師と介護ヘルパーが週3~5日訪問、痰(たん)の吸引や胃ろうへの栄養剤注入などの処置を受ける。宣言以後、ぜんそく治療薬の吸入や病院でのリハビリを受けられなくなった。カット綿や吸引器具など、医療物資も不足。母元子さん(57)は「供給がストップしたら生命を維持できなくなる」と危機感を募らせる。

 障害者施設も感染防止対策に翻弄(ほんろう)されている。桜井市の知的障害者福祉施設「虹の郷」もその一つ。利用者にマスクの装着を促しても「病気じゃない」と外してしまったり、密を避けようと利用者同士の間隔を取っても、いつもと同じ位置に戻ってしまったり、一筋縄ではいかないのが現状だ。

 職員は「知的障害者は変化に対応しにくく非日常は混乱を招いてしまう。対策にも限界がある」と頭を抱える。同施設の棚橋栄夫センター長(42)は「(感染者が出て)施設が閉鎖になると、彼らの行き場がなくなってしまう。何としても感染を阻止したい」と語気を強めた。

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