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社説

緊急事態宣言の延長 長期化に向き合う支援を

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が、全国で5月末まで延長された。

 感染爆発は起きておらず、全国の新規感染者数はいったんピークを越えたとみられる。だが、減少幅は十分ではない。今回の延長は、再び感染拡大が起きれば医療崩壊となりかねないことを憂慮した措置だ。

 外出自粛や休業要請は2カ月目に突入する。延長で事業者はさらに経済的打撃を受ける。「自粛疲れ」も増す。長期化する「緊急事態」をどう乗り越えるのか、政府や自治体にはきめ細かな対応が求められる。

 東京都など感染状況が厳しい13都道府県以外で対策を緩めるのは、そうした対応の一つだろう。社会・経済活動の維持と感染拡大防止が、両立できるとの判断だ。

 そもそも宣言の最大の目的は、医療崩壊を防ぐことにある。だが、この1カ月で十分な医療体制が確保できたとは到底いえない。

消えぬ医療崩壊の懸念

 軽症者を受け入れる宿泊施設の確保は進んだが、医療機関からの移行は始まったばかりだ。重症者が適切な治療を受けられるよう、病院の役割分担や入院調整の機能を早急に整える必要がある。医療機関の情報を効率的に集めるシステムの構築を急いでほしい。

 感染の有無を確認するPCR検査の数は、思うように増えていない。検査体制を確保し、必要な人が迅速に検査を受けられるようにすべきだ。保健所に対しては、人員確保や情報機器の活用など支援策強化の手を抜けない。

 医療用のマスクや防護服、フェースシールドは十分に行き渡っていない。政府が増産を支援し、一括して医療機関に供給する方式を確立すべきだ。使い回しをしなければならないようでは院内感染のリスクが高まり、医療従事者に余計な負担がかかる。

 感染者数を減らすには、引き続き外出自粛や休業要請の徹底が鍵を握る。休業を余儀なくされるなど、収入が大幅に減った中小企業への給付金制度が設けられているが、十分ではない。宣言を延長した以上、政府は対象拡大や増額など追加対策を急ぐ責任がある。

 従業員を休業させた場合の雇用調整助成金も、相談が多数寄せられているのに支給が大きく遅れている。手続きが煩雑だと批判が上がっている。企業の資金繰りは厳しさを増している。政府は早急に対応すべきだ。

 延長期間を乗り切るには、国民に寄り添う情報発信が重要だ。延長を機に、担当閣僚などが日々記者会見を開くようにしてはどうか。取り組みの現状について、政府にとって不都合な点も含め率直に語ってこそ信頼を得られる。

 安倍晋三首相は記者会見で「5月は収束のための1カ月で、次なるステップに向けた準備期間だ」と述べた。延長でいつまで自粛が続くのか国民には不安がある。宣言の解除に向けては「出口戦略」が欠かせない。

 まずは解除の判断基準を示す必要がある。感染抑制が不十分なまま解除するようなことがあれば、感染が再拡大して社会や経済にさらに負担がかかるだろう。

求められる「出口戦略」

 政府は基準として、新規感染者数や病床の空きなど医療提供体制を挙げたが、具体的な数値の提示は先送りした。大阪府は独自の基準を定める方針だが、国がまず数値を示すべきだ。

 宣言が解除できるようになっても、接待を伴う飲食店など感染リスクが高い施設がある。利用自粛要請を続けるのかどうか、検討課題となるだろう。

 休校が長期化する学校について、文部科学省は段階的に再開していく考えを示した。各教育委員会は、子どもたちへの感染リスクに最大限配慮しつつ、授業再開のあり方を考えることが必要だ。

 本格的な再開ができた時に授業の遅れをどう取り戻すのかは重要な課題だ。教育現場は今から十分な準備をしてほしい。

 知事の休業要請・指示に事業者が応じないケースも生じた。特措法を改正して罰則を設けるとの意見もあるが、私権の制限は最小限にとどめるのがこれまでの対応だ。拙速な改正は避けるべきだ。

 宣言が解除できたとしても、終息までは長丁場となる。まん延防止策と社会経済活動の維持を両立させるため、一人一人が日々の感染リスクを最小限にすることで乗り切っていきたい。

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