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ヤングケアラー~幼き介護

反響特集(その2止) 支援や啓発、求める声

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 ◆「権利擁護の観点、大切に」

親も悩む

 介護体験者やヤングケアラーの家族、福祉・教育関係者たちからも一連の報道に反響が寄せられた。介護に伴う子どもの心身の負担を思いやる声のほか、今後の報道に期待する意見もあった。

 ヤングケアラーの子どもの介護負担について、思い悩む親が少なくないことがうかがえる。交通事故で寝たきりの夫がいる女性は、小学生から高校生までの子どもが介護を手伝っているとし、「家族だんらんは子どもたちの努力と我慢で成り立っている」と記した。重度の知的障害児を育てる女性は「幼い他の子どもたちに世話の手伝いなどさせたくない」とつづった。

 一方、染色体異常の病気の次女など3児の母の大阪市の女性(43)は「『ヤングケアラー=かわいそう』ではない。寄り添ってくれる理解者や協力者がいれば、多様な考え方や経験ができる喜びもある」と考えている。次女の着替えや入浴などさまざまな介護を手伝うきょうだいは、同世代が集う家族会に参加したり、支援者と交流したりしてきたという。女性は「次女がいるからこそ恵まれた出会いがあった」と話す。ヤングケアラーには周囲の人間関係が大きく影響しそうだ。

 大学の非常勤講師の女性は、アルコール依存症の講義をきっかけに「母はアルコール依存だ」と初めて気づいた学生のエピソードを寄せた。学生は小学生の頃から、母が深酔いの状態で仕事から帰ってきたり、失禁したりすると面倒をみていたようだったという。女性は「依存症や認知症の知識がなく、介護に追われる子が他にもいるのではと不安になった」とつづった。

 中部地方のスクールソーシャルワーカーの50代女性は「介護のため不登校になるなど子どもの学ぶ権利が奪われていても、教育現場や行政は、親の手伝いをする『良い子』との認識で終わらせてしまう」ともどかしさを感じるという。「子どもの権利擁護の観点を大切に、啓発を続けてほしい」と報道を期待した。

 精神障害者の家族会の活動を通してヤングケアラーと接してきた東京都の女性(72)も「教育と福祉が断絶している。介護が関係していそうな子どもの異変に気づいたなら、学校が福祉や医療の専門家と連携して対応できる仕組みが必要」と話した。

実態、なお不透明 本紙調査、15~19歳の3.7万人

 毎日新聞が委託して実施した2017年の就業構造基本調査のオーダーメード集計によると、通学や仕事をしながら家族を介護している15~19歳は全国で推計3万7100人。学校に通いながら介護をしている子どもが全体の約8割(3万700人)を占め、さらに全体の3割強(1万2700人)は介護を週4日以上していた。

 過去の統計では分からなかった「介護する10代」の全国規模が初めて判明したことになる。結果の詳細は独立行政法人・統計センターのポータルサイト(https://www.e−stat.go.jp/microdata/jisseki)。

 総務省の就業構造基本調査は15歳以上が対象だが、一部自治体などの調査で14歳以下の小中学生にもヤングケアラーが確認されている。また「自分は介護をしている」という認識がない人も就業構造基本調査には反映されないため、国内のヤングケアラーの数は今回のオーダーメード集計を超える可能性が高い。17年の同調査は介護の頻度しか尋ねておらず、介護の内容など実態もなお不透明だ。

 ヤングケアラーに過度な介護負担が続いた場合、心身の不調や学業への支障など将来を左右する悪影響が出た事例もあるが、国の調査や支援は進んでいない。

 一方、埼玉県は3月、親しい人を無償で介護するケアラー(ヤングケアラーを含む)を支援する全国初の条例を制定した。同県は県内の実態調査を行い、支援が必要な子どもには学校や福祉など関係機関が連携して対処するとしている。こうした取り組みは他の自治体や国の施策にも影響する可能性がある。


毎日新聞のオーダーメード集計結果

 <2017年>

 ■総数

介護をしている15~29歳 21万 100人

―――――――――――――――――

介護をしている15~19歳  3万7100人

 介護は月に3日以内       7200人

 介護は週に1~3日       9800人

 介護は週に4日以上     1万2700人


 仕事をしている       1万 200人

     仕事が主        4800人

     仕事が従        5400人

       通学が主      4900人


 仕事はしていない      2万6900人

   通学している      2万5800人

     介護は月3日以内    4800人

     介護は週1~3日    6800人

     介護は週4日以上    9400人

 ■男性

介護をしている15~29歳  9万5600人

―――――――――――――――――

介護をしている15~19歳  1万8200人

 介護は月に3日以内       3600人

 介護は週に1~3日       4400人

 介護は週に4日以上       5000人


 仕事をしている         4900人

    通学が主         2200人

 仕事はしていない      1万3300人

    通学している     1万3000人

 ■女性

介護をしている15~29歳 11万4400人

―――――――――――――――――

介護をしている15~19歳  1万8900人

 介護は月に3日以内       3600人

 介護は週に1~3日       5400人

 介護は週に4日以上       7700人


 仕事をしている         5300人

    通学が主         2600人

 仕事はしていない      1万3600人

    通学している     1万2800人

 <2012年>

 ■総数

介護をしている15~29歳 17万7600人

―――――――――――――――――

介護をしている15~19歳  3万4200人

 仕事をしている         6700人

    通学が主         2600人

 仕事はしていない      2万7500人

    通学している     2万5400人

 ■男性

介護をしている15~29歳  7万4500人

―――――――――――――――――

介護をしている15~19歳  1万7700人

 仕事をしている         2800人

    通学が主         1000人

 仕事はしていない      1万4800人

    通学している     1万4000人

 ■女性

介護をしている15~29歳 10万3200人

―――――――――――――――――

介護をしている15~19歳  1万6500人

 仕事をしている         3900人

    通学が主         1600人

 仕事はしていない      1万2600人

    通学している     1万1400人

 ※いずれも推計。5年に1回行われる総務省の就業構造基本調査の15~29歳のデータから、15~19歳を抽出・再集計する「オーダーメード集計」を、毎日新聞が独立行政法人・統計センターに委託した。介護の頻度(日数)などが不明な人がいることや四捨五入のため、内訳の合算と全体が一致しない場合がある。12年の同調査には介護の日数を尋ねる項目がなかった


 ■ことば

ヤングケアラー

 慢性的な病気や障害、精神的な問題などがある祖父母、両親、きょうだいなど、身近な家族の介護や世話をしている子ども。日本に公式な定義はないが、家族を介護する人を支援する日本ケアラー連盟は「大人が担うようなケアの責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」と位置づけ、支援を訴えている。

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