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余録

英国の医師ジェンナーが…

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 英国の医師ジェンナーが18世紀末、「牛痘」を使った種痘で天然痘を予防した話は有名だ。明治時代、修身の教科書にも採用された。「まづ、わが子に種(う)えて」と書かれていたため、日本では家族を最初の実験台にしたと信じられた。だが、実際は使用人の子どもだった▲「牛痘」でもなかった。21世紀になってゲノム解析で牛に感染した「馬痘」が由来とわかったそうだ。どちらも最近、知った。初のワクチンを生んだジェンナーの評価が変わるわけではないが、古い知識はたまに更新する必要がある▲種痘の普及で日本や欧米では天然痘は怖い感染症ではなくなった。しかし、アフリカや南アジアには多くの患者が残されていた。1974年にはインドで20世紀最悪とされる流行が起き、1万5000人以上が死亡した▲天然痘撲滅に動いたのが世界保健機関(WHO)だ。指揮をとった蟻田功(ありた・いさお)博士は感染者と接触があった人を追跡して種痘を施し、感染を減らした。新型コロナウイルスのクラスター対策と似ている▲バングラデシュでアジア最後の患者が見つかったのが75年。その後、アフリカからも姿を消し、WHOは80年5月8日に天然痘の世界根絶宣言を出した。冷戦下、対立していた米国とソ連も支援し、蟻田氏は「人類は政治、宗教、人種を超えて共同の敵に当たることができる」と総括した▲宣言から40年。米国はWHOへの資金拠出を停止中だ。新たな敵に一丸となって対処できるのか。再び人類の知恵が問われている。

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