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休校措置が長引く中で、学びのセーフティーネットをどう構築するか。新型コロナウイルスの感染拡大により、政府や教育現場が直面している課題である。
休校が2カ月を超えた学校も多数ある。緊急事態宣言の延長に伴い、多くの地域でさらなる長期化が避けられない状況だ。
学校という場が使えない事態を受け、立ちすくんでしまった現場もある。登校日は自宅学習の状況を知る助けになるが、文部科学省の先月の調査では、休校中の設定を考えていない自治体が過半数に上った。保護者からは学習の遅れへの不安の声が聞かれる。
オンラインでやりとりする授業の導入を予定している自治体もごくわずかだ。背景として情報通信技術(ICT)環境の未整備が指摘されるが、教育現場の意識の問題も大きいのではないか。
不登校の子どもを対象として、ICTなどを使った自宅学習を学校が出席扱いにできる制度は15年前からある。だが、活用はあまり進んでいない。自宅学習を支援するオンライン教材会社「すららネット」によると、勉強は学校でするものという固定観念が社会に根強いのが一因だという。
政府は、地域や家庭による格差の解消策として「9月入学制」の導入を検討する。海外では秋入学が主流のため、留学を促進する効果も期待されている。ただ、企業の採用時期の見直しなど社会全体への影響は大きい。性急に結論を出すことには慎重であるべきだ。
政府も自治体も、これほど休校が長期化する事態を想定していなかったのだろう。足元の課題がおろそかになっており、それらに一つ一つ取り組むのが先だ。
文科省は小学1年と6年、中学3年を優先して分散登校日を設ける案を示した。受験などに配慮しつつ、段階的に教育活動の再開を促す狙いだが、感染の防止に万全を期さなければならない。
夏休みを削っても授業をこなしきれない事態も想定し、備えておきたい。指導要領のうち、省いていい単元を文科省が定めるべきだ。それに応じて、入試で出題する範囲も限定する必要がある。
学びを守るためにいま、何をすべきか。知恵を出し合い、早めに手を打たなければならない。
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