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がん「早期発見・治療」原則にゆらぎ、新型コロナがはばむ専門治療体制の継続

がん診療を制限する理由

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各地の病院で手術や化学療法などがんの診療を制限するケースが出てきている。感染者の診療に人手を割かれていることなどが背景にあるが、患者からは、治療の遅れによる悪影響を懸念する悲痛な声が上がっている。

手術ストップ 転院希望でも「2週間待機」要請

 「院内で新型コロナウイルス感染者が見つかったため、手術ができなくなりました」。東京都内の30代女性は、乳がんの手術を3日後に控えた4月下旬、入院直前の診察で主治医にこう告げられた。目の前が真っ暗になった。

 昨年7月に進行性の乳がんと診断され、吐き気や脱毛などの副作用に苦しみながら、抗がん剤治療を半年以上続けてきた。ようやく手術の日程が決まり、前向きな気持ちになれた直後だった。「他の患者も同じ状況なんだから」。自分に言い聞かせ、主治医の言葉を受け入れるしかなかった。

 主治医には治療をしても再発の恐れがあると言われていた。手術が再開されても、病院に行けば感染のリスクがあるかもしれない。でも手術が遅れると、急激に進行したり再発のリスクがもっと高まったりするのではないか――。延期を通告された日は、焦りと恐怖で一睡もできなかった。

 翌日から自宅にこもり、携帯電話を握りしめて病院からの連絡を待った。インターネットで手術延期の影響に関する情報ばかりを探した。不安は募る一方だった。

 その後、がんの進行度などを考慮して主治医が準備を急ぎ、女性は当初予定の約1週間後に手術を受けることができた。感染して肺炎を発症していないかを調べるため、入院前にコンピューター断層撮影(CT)検査を受けた。入院患者は少なく、病棟はガラガラ。家族の面会も禁止するなど、院内では感染予防策が徹底されていて、感染への不安は和らいだという。

 女性は今後、3週間に1回電車で通院して、薬物療法を続けるが、乗客の多い時間帯もあり、通院途中で感染するのが怖い。「予定通りに治療を続けられるだろうか」。手術後も心配は尽きないという。

 山口県内に住む40代の女性会社員はステージ3の乳がんと診断され、今年1月、福岡県内の病院で右乳房の全摘手術を受けた。治療実績などを聞いてこの病院を選んだが、通院…

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