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配信だからできることとは? 古今亭菊之丞が3夜連続で「でじたる独演会」

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ネット配信の落語に挑んだ古今亭菊之丞=2020年5月4日、濱田元子撮影
ネット配信の落語に挑んだ古今亭菊之丞=2020年5月4日、濱田元子撮影

 集まるな、集めるなのコロナ時代をどう生き延びていくか。国の緊急事態宣言を受けて「寄席の灯」が消えてから1カ月が過ぎた。落語家たちもインターネット配信やデリバリー落語など、あの手この手で表現の場を広げている。

 そんな中、古典の本格派、古今亭菊之丞は休席中の東京・池袋演芸場から5月4~6日の3夜連続、無観客配信による独演会に挑んだ。お囃子(はやし)も生演奏で入り、たとえ無観客であっても、寄席という空間から発せられる落語を聴くと、それだけで寄席の空気を吸っている気分になるから不思議なものだ。

 完全なライブというわけではなく、落語部分はその日に撮って出しの疑似ライブ配信。トーク部分では、チャットやツイッターの書き込みを見ながら、菊之丞が視聴者と双方向でリアルタイムにコミュニケーションする。古風なたたずまいの菊之丞と配信との取り合わせは意外な感じもするが、「この機会に普段、寄席に来られない方に見ていただければ。時機がよくなったら生で聴いていただくための手段ですね」と菊之丞。

 事前に演目を募ったところ、予想に反して普段の寄席でやっているものが多かったとか。1夜に2席ずつで計6席。第1夜は「片棒」と「火焰太鼓(かえんだいこ)」、第2夜は「法事の茶」と「井戸の茶碗(ちゃわん)」、第3夜は「紙入れ」と「親子酒」と、寄席のスタンダードが並んだのがうれしい。「火焰太鼓」と「井戸の茶碗」という、古今亭のお家芸がしっかり入っているのも意気込みが伝わる。

見ている側も一緒に「乾杯!」

 配信ならでは、逆境を生かしたこんな楽しみ方もあるのか、と心躍ったのが酒飲みの心理を面白おかしく描く「親子酒」だ。酒飲みの親子が禁酒の約束をしたが、そんなの守れるわけがない。息子が仕事に行っている間、我慢できずに酒を飲んでしまう父親が、画面に向かって「みなさんと乾杯!」と、独り言めかしたセリフを放つ。それなら、と画面のこちら側も思わず「乾杯!」。

 もちろん寄席では一緒に乾杯なんてできないが、配信だとグラスを片手に見て…

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