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今週の気持ち

今週の気持ちは「夢に現れた夫」

 「女・男の気持ち」(2020年4月30日~5月6日、東京・大阪・西部3本社版計21本)から選んだ「今週の気持ち」は、大阪本社版5月5日掲載の投稿です。

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<今週の気持ち>

夢に現れた夫

 堺市南区・上田文枝さん(無職・68歳)

 亡くなった夫の夢をよく見る。夢に出てくる夫はいつも穏やかな笑顔で、私は夫の傍らに寄り添っている。そうして迎えた朝はほっこりと温かい。

 ところが亡くなって14年もたつと、生前の夫に腹を立てることもあるとは自分でも思いもよらなかった。

 決して仲の良い夫婦とはいえなかった。夫は一言で言うと「火宅の人」である。朝帰りの夫に、小学生の長男が「母ちゃん、父ちゃんが来たで」と玄関で歓声を上げる。「帰って来たと言ってくれよ」と苦笑する夫。時々派手な夫婦げんかもした。長男は台所へ走って行き、「もっとやれー、もっとやれー」と、お玉で鍋をガンガンたたく。次男は私に取りすがる。夫に向けて投げ損なったカキが掛け軸やふすまに飛び散った。

 夢はなごやかなものばかりで、14年間思い出すこともなかったのに、昨夜は無性に腹が立った。腹立ちのまま、いつしか眠ると、なんと夫がニコニコと私のご機嫌伺いに現れるではないか。おまけに小学生の頃の長男までお伴に引き連れて、常とう句にしていた「誤解させたことは謝る」とでも言いたげである。あなたらしいと、あきれて笑うしかなかった。

 昨年、鎌倉の円覚寺境内で夫の気配を風に感じた。余命幾ばくもない日、「また二人で古寺を訪れたいね」と言っていた夫。私は今も一人で訪ねて、風に吹かれているよ。

 ◆ ◆

<担当記者より>

 夫婦の喜怒哀楽をつづった投稿は「女の気持ち」の定番でもありますが、上田さんの投稿は強烈です。派手な夫婦げんかは、いかにも大阪らしく、松竹や吉本の新喜劇をほうふつとさせます。

 しかし上田さんいわく、「子どもにとってはいい父親で、自慢の夫でもありありました」と。山あり谷ありの夫婦の歩み。最後の段落は一転、映画のワンシーンのようにすてきですね。

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