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「白紙から世界を作り直すチャンス」 ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス博士に真意を聞く

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ソーシャル・ビジネス・サミットで演説するムハマド・ユヌス氏=2013年(本人提供)
ソーシャル・ビジネス・サミットで演説するムハマド・ユヌス氏=2013年(本人提供)

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から、我々はどのように世界を再構築すべきなのか。2006年のノーベル平和賞受賞者で経済学者のムハマド・ユヌス博士(79)は、「白紙の状態から世界を作り直すチャンス」とみる。その真意を聞いた。【聞き手・國枝すみれ/統合デジタル取材センター】

世界はもとに戻すべきか 選択するのは私たち

 ――新型コロナによるパンデミックは、人類に何をもたらすのでしょうか。

 ◆新型コロナの感染拡大が世界に与える打撃の深さを考えると、たまらない気持ちになる。だがこのパンデミックが、大きなダメージと同時に私たちに与えてくれるものがある。それは、比類ないチャンスだ。

 いままさに、全世界に重要な問いが提起されている。この世界を、新型コロナに襲われる以前の世界に戻すのか、それとも新しく設計し直すのか――という問いだ。決定は完全に我々に任されている。

 新型コロナウイルスが登場する前の世界は、言うまでもないが良い世界ではなかった。世界は悲鳴を上げていた。私たちは気候変動が引き起こす大災害によって、全人類の存在が脅かされるまでの残り時間を数えていた。人工知能(AI)によって膨大な雇用が失われ、富の集中は爆発寸前のレベルに達していた。我々はこの10年間が状況を変える最後のチャンスだとお互いに注意しあってきたが、努力はわずかな結果しかもたらさず、地球を救うには不十分だった。

 新型コロナは突然、世界の文脈と計算式を変えた。それまでは存在しなかった新たな可能性の扉が開いた。我々はまっさらな白紙の状態に戻り、どんな方向へも行ける。信じられないほど自由に、未来を選択できるのだ。

 経済を再開する前に、我々はどのような経済制度の中に暮らしたいのか、話し合い、合意を形成すべきである。最も重要なのは、経済は「一つの手段」に過ぎないということだ。我々が定めた目標に到達するのを助ける手段であるべきで、神が我々を罰するために作った「死の罠(わな)」のようなものであってはならない。

 私たちは一瞬たりとも忘れるべきではない。経済は人間が作った道具であり、人間全体が最も幸せに暮らせる状態に到るまで、何度でも作り変えるべきものだ。もしいまの経済制度によって望んでいない世界に連れていかれると感じたら、使用しているハードウエアかソフトウエアのどこかが間違っている。修正すればいいだけだ。

 (気候変動の原因となる)二酸化炭素の排出ゼロの世界を作りたいなら、失業ゼロの世界を作りたいなら、富の過度な集中がない世界にしたいなら、そうするためのハードウエアとソフトウエアを作ればいい。我々には力がある。達成しようと決意したら、ただ実行するのみ。不可能なことはない。コロナ危機は、我々が再出発するために必要な、無限に近いチャンスを与えてくれている。我々はハードウエアとソフトウエアをゼロから設計することができるのだ。

ポストコロナの経済は社会や環境に配慮したものを

 ――では、どんな世界を作るべきなのでしょうか?

 ◆世界全体が一つの明確な方向性で一致すれば、ことは非常に容易に進む。それは「もといた場所には戻らない」という方向性だ。「回復」という名のもとに、再び同じフライパンの中には飛び込まない。あえて「回復」計画と呼ばず「再構築」計画と呼んでいるのは、私たちの目的を明確にするためだ。

 再構築を実現させる上で、重要な役割を果たすのはビジネスである。ポストコロナ時代の経済の再…

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