新型コロナウイルスの感染拡大は、大学の教育、研究両面に多大な影響を及ぼしている。毎日新聞が全国の大学教員を対象に実施したアンケートでは、遠隔授業に必要な学生側のインターネット環境の整備を教員が個人的に支援していたり、理系の実験など研究活動が停止したりしており、教員一人一人に混乱と過重な負担が生じている状況が浮かんだ。【鈴木英生、永山悦子】
「困窮している学生に、個人的にルーター(インターネットにつなぐ装置)を貸した」(東北地方の国立大の教員)
緊急事態宣言が出され、教室で授業ができなくなった各大学は、インターネットを使った遠隔授業を余儀なくされている。遠隔授業は、教員側の準備だけでなく、学生が自宅でインターネットを使えることが前提だ。政府の緊急経済対策は、学生のモバイル通信装置の整備や、学生の通信料の負担軽減を盛り込むが、遠隔授業は各大学で既にスタートしており、対応は各大学に任されている。
全学生にノートパソコンやルーターを無償貸与する大学がある一方、地方の大学を中心に、教員が個人的に学生のネット接続を支援したり、「研究室に眠っていたパソコンを貸し出した」りと、現場の努力で環境を整えるケースもみられた。普段はパソコンを使っていない学生も多く、「まずはメールの書き方を教えている」状況だという。
学生支援の違いには、大学自身の「体力」も影響している。関西地方の私立大文系の教員は「旧帝大や大規模私大と違い、対面による講義を前提に組まれたシステムを数カ月でオンライン対応にすることは、地方私大にとってはそもそも無理。学生にアクセスすること自体が非常に手間がかかり、教員、職員の業務量が圧倒的に増えている」と明かした。
授業形態の変化を前向きにとらえる意見もあった。「未来型教育法となるポテンシャルを感じる」という期待や、「従来の授業の問題点や無駄に気付けた」としたうえで、遠隔授業と対面講義の役割分担が進めば「むしろこまやかな指導をできるようになる」というものだ。通信各社も25歳以下を対象に50ギガバイトまでの通信料を無償化するなど遠隔授業向けの支援に乗り出し、学生側の通信環境も一部は整いつつある。
一方、文部科学省主導の大学改革に批判的な教員は、各現場の意見や経験が見直されることによって、「文科省の介入の度合いを減らすきっかけになるかもしれない」という意見を寄せた。
研究室や実験施設に立ち入れないことによって、大学での研究は「何もかも止まる」事態に陥っている。さらに大学院生たちが研究テーマの見直しを迫られたり、十分な指導を受けられなかったりするなど、若手研究者の育成にも影響が出始めている。
「将来宇宙探査計画の搭載装置の基礎開発も停止している」(首都圏の国立大の教員)…
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