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母の感染死、誰にも言えず 偏見や中傷…「敵はコロナのはずなのに」

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服飾店を営んでいた母の遺品のスタイルブックを手に思い出を語る女性=福岡市内で2020年4月27日午後1時42分、金澤稔撮影
服飾店を営んでいた母の遺品のスタイルブックを手に思い出を語る女性=福岡市内で2020年4月27日午後1時42分、金澤稔撮影

 脳出血からのリハビリ中に病院内で新型コロナウイルスに感染した母親(87)を失った福岡県内の女性(56)が、毎日新聞の取材に応じた。息を引き取ったのは、感染確認からわずか11日後。自身と兄も濃厚接触者としてPCR検査を受け、共に陰性だったものの、偏見や中傷を恐れて周囲に母の死を打ち明けられずにいる。

 母が福岡県内の総合病院に脳出血で入院したのは3月12日。顔にしびれが残ったが、リハビリに励み、経過は良好だった。「あなたが褒めるからもっと頑張らないと」。29日に見舞いで顔を合わせた時も、そう余裕を見せていた。

 ところが、その直後から事態が急変する。「お母様の件でお話があります」。主治医から電話があり、数日発熱が続いていた母が新型コロナウイルスの「陽性」だったと告げられたのは4月3日。立て続けに面会の禁止と、濃厚接触者としてPCR検査を受けるよう言われ、頭が混乱した。「脳出血とコロナは関係ないのに」。原因は院内感染だったが、当初の医師の説明にはなかった。

 容体の悪化を受け、13日に面会を許された。防護服やマスク、手袋を着けても会えたのは1、2分。母の意識はなく、目は薄く開いていたが、息苦しそうに見えた。換気のため病棟の窓は開けられ、肌寒かった。「お母さん来たよ」。1メートル離れた場所から声をかけるのが精いっぱいだった。

 翌朝、母は帰らぬ人となった。2次感染…

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