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コロナでも休業できないコンビニ店主 再起した原発避難者の思い

ペットボトルを陳列する時は、感染防止のため、フタは持たないようにしている=関東地方のコンビニエンスストアで2020年4月30日午後4時30分、宇多川はるか撮影

 首都圏の新興住宅街の一角にあるコンビニエンスストア。オーナーは父(61)、マネジャーは長男(32)、母(60)も従業員を務める、家族経営のコンビニだ。新型コロナウイルス感染拡大防止のための「緊急事態宣言」下でも、コンビニは「社会インフラ」の一つとされ、休業要請の対象ではない。一家は、東京電力福島第1原発事故を受け、福島県富岡町から関東へ移住してきた原発避難者でもある。住み慣れた家を失い、3年前、移住先でコンビニ経営で生計を立てるという道を選んだ。再び見舞われた「災禍」に何を思うのか。【宇多川はるか/統合デジタル取材センター】

 大きな公園の近くにあり、遊びに来る家族連れやカップル、ジョギング中のランナーら、晴れた日は今も客足が絶えない。大きな問題がなさそうにも見えるが、かれこれ1カ月以上、新型コロナに振り回されてきた。

 3月下旬、店内のトイレに設置していたトイレットペーパーが盗まれた。緊急事態宣言の可能性がささやかれ、各地で「買い占め」現象が続いていた時期だ。店内の陳列棚にも、並べるペーパーは無くなっていた。トイレ内からいつ盗まれたかは分からない。父が気付いたら、無くなっていた。

 「仕方ない……」。長男はトイレを閉めることにした。「新型コロナウイルス対策、及び、トイレットペーパーの盗難により、当面の間トイレの利用はお断りさせていただきます。ご不便をおかけしますが、ご理解の程お願い致します」。トイレの入り口の前に、「足下注意」の黄色い看板を置き、そう書いた張り紙をはり付けた。さらに、トイレのドアには、「使用禁止 Do not use」という張り紙もつけた。

 もともと、客の使用後のトイレの汚さには、父も長男も頭を悩ませていた。不衛生なトイレの掃除は、従業員の感染リスクを高めないか。日ごろ心配していたこともあり、それ以降、トイレは使用禁止のままにしている。

 だが、入り口とドアの2カ所に「使用禁止」の張り紙を付けてもなお、無断でトイレを使う客が絶えない。

 ある日、母がトイレを使用して出てきた年配の男性客を見ていると、「手…

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宇多川はるか

2007年入社。仙台支局で東日本大震災、横浜支局で相模原障害者施設殺傷事件を取材。2018年から統合デジタル取材センター。小児がん、保育、虐待など子どもを巡るテーマ、障害者福祉、性暴力、ハラスメントの問題を継続取材。

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