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余録

「さてこの薬、第一の奇妙には…

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 「さてこの薬、第一の奇妙には、舌の回る事が銭(ぜに)ごまが裸足(はだし)で逃げる」。歌舞伎十八番「外郎売(ういろううり)」の口(こう)上(じょう)で、舌の回りが早くなるという薬効を「そりゃそりゃそらそりゃ、回って来たわ」と早口言葉で示す▲「武具、馬具、武具馬具、三(み)武具馬具、合わせて武具馬具六(む)武具馬具。菊、栗、菊栗、三菊栗、合わせて菊栗六菊栗……長押(なげし)の長薙刀(ながなぎなた)は、誰(た)が長薙刀ぞ。向こうの胡麻殻(ごまがら)は荏(え)の胡麻殻か真(ま)胡麻殻か」。今も滑舌(かつぜつ)の訓練に用いる長口上だ▲江戸時代の薬売りは薬効を身をもって示すのがならいだったようで、暑気(しょき)あたりの薬売りは炎天下にかさをかぶらず売り歩いたから命がけである。現代の薬は「治験」と呼ばれる臨床試験によって薬効が検定されるのがならいである▲エボラ出血熱の治療用に開発された米社製の「レムデシビル」が、新型コロナウイルス治療薬として特例承認された。治験では重症者の回復を早める効果が認められ、米国が緊急使用を許可したのを受けた異例のスピード承認だった▲コロナ初の治療薬として争奪戦も予想され、早期承認で供給確保を図ったようである。ただ薬効の国際的評価はなお定まっておらず、腎機能や肝機能を損なう副作用も指摘される。効能とリスクを勘案した慎重な使い方が求められる▲軽・中等症用の「アビガン」はじめコロナ治療薬実用化の前のめりのレースは続く。薬売りが身をもって示す薬効も安全性も昔の話、「ぶっつけ本番」のリスクも避けられそうにないコロナ治療の最前線である。

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