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社説

新型コロナの治療薬 適切な使用で命守りたい

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 新型コロナウイルス感染症の治療薬として、政府が米国の抗ウイルス薬「レムデシビル」を、異例の速さで承認した。

 治療薬は、感染防止策とともにコロナ対策の両輪となる。医療現場や患者には心強い知らせだ。だが、課題は多い。

 まず、現時点では全ての患者に効く特効薬とは言えない。

 重症者約1000人を対象にした臨床試験では、回復までの時間を4日短縮できた。適切に使うことで人工呼吸器や集中治療室(ICU)に余裕が生まれ、医療崩壊防止につながると期待される。

 しかし、死亡率を下げる明確な効果は確認できなかった。米国製のため、日本でいつから使えるかや、必要な量が確保できるかも見通せない。

 安全性にも留意が必要だ。元々はエボラ出血熱の治療薬として開発中だった。米政府は非常事態を理由に新型コロナへの緊急使用を許可し、それを受けて日本も「特例承認」に踏み切った。

 病気のまん延防止に必要で、代替手段がなく、海外で認められているという要件を満たしたことから、通常なら1年程度かかる審査を、わずか3日で済ませた。

 一方で、副作用として肝臓や腎臓の機能障害が報告されている。リスクがあっても使用すべき有効性があるかどうか、細心の注意を払って症例を蓄積し、分析を続けるべきだ。

 続く治療薬候補として、政府は「アビガン」の承認を目指している。新型インフルエンザの治療薬として日本で開発された。

 コロナ感染症への効果を調べる臨床試験が進む。症状が改善したとの報告もあり、患者の間には投与を望む声が強い。ただ科学的な検証は終わっていない。胎児に奇形を生じさせる副作用もある。

 このほか、ぜんそくに使われる「オルベスコ」、膵炎(すいえん)の治療薬「フサン」、リウマチ薬「アクテムラ」なども有望視されている。選択肢は多いほどいい。偏りのないよう着実に研究を進めてほしい。

 感染予防の決め手となるワクチンの実用化は、早くても来年以降の見通しだ。それまではこうした既存薬の検証と適切な使用が欠かせない。並行して、新薬開発への積極的な支援も進めるべきだ。

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