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沼野充義・評 『The Lyrics 1961-1973』『The Lyrics 1974-2012』

『The Lyrics 1961ー1973』

 ◆『The Lyrics 1961-1973』『The Lyrics 1974-2012』=ボブ・ディラン著、佐藤良明・訳

 (岩波書店・各4950円)

 二〇一六年十月、ノーベル文学賞受賞者が発表されたとき、ある新聞社の会議室でその時を待っていた、私を含む何人もの人々の口から思わず「おおっ!」という驚きとも、感動ともつかないどよめきが洩(も)れた。ボブ・ディランというまったく予期していなかった選考結果だったのだが、その名前を聞いたとき、私は一瞬のうちに「素晴らしい!」と納得もしたのだった。

 ボブ・ディランは、言うまでもなく、二〇世紀後半のアメリカが生み出した、もっとも影響力の大きな歌手である。一九六〇年代初頭から活躍を始め、アメリカの社会派フォーク・ソングやブルースの影響から出発しながら、エレキギターを使用したロックに転身した。ユダヤ人の出自でありながら突如キリスト教福音派に改宗して、初期の社会的プロテストの歌から一転して宗教色の濃い歌を作った。こんなふうに彼は半世紀以上にわたって…

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