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医療体制脆弱なアフリカ、新型コロナ大流行の懸念 日本人医療従事者に現地の状況を聞く

 ソマリランドの「首都」ハルゲイサで4月上旬、地元医療スタッフに新型コロナウイルスの感染予防について研修する平井医師(奥)=MSF提供

 新型コロナウイルスでは、マラリアやコレラなど他の感染症の脅威にも直面し、医療資源が不足するアフリカでの大流行を懸念する専門家が少なくない。アフリカ東部ソマリア北部のソマリランドとスーダンに赴任している国際医療NGO「国境なき医師団」(MSF)の日本人医療従事者2人に、現地の状況を聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

 「ここは医療体制全般が弱い。世界保健機関(WHO)はアフリカの中でも特に脆弱(ぜいじゃく)だと見ている」。そう指摘するのは、MSFの医療コーディネーターとして、ソマリランドで保健省を支援している平井亜由子医師だ。

 ソマリランドはソマリア北部で1991年に独立を宣言したが、国家承認している国はまだなく、アフリカの最貧国と呼ばれる。平井さんは2020年1月から「首都」ハルゲイサにある病院で多剤耐性結核患者の治療サポートなどを行ってきた。新型コロナ禍が拡大するにつれ、保健省を支援して院内感染の対策強化や医療スタッフの訓練にも取り組んでいる。確認された感染者は5月7日で12人、死者数は3人という。ソマリア全体では感染873人、死亡39人だ。

 しかし、ソマリランドでは新型コロナウイルスの検査ができない。疑い例は隣国ケニアのナイロビまで検体を空輸して行わなければならない。航空便は新型コロナの感染に伴い数が減っており、検体運搬すら思うようにいかないという。「診断が困難で真の感染状況が把握できていない」と平井さん。

 治療も容易ではない。医療従事者の保護具も「全体に不足している。地方病院では全く支給されない所もある」という。

 重症化した新型コロナ患者らに必要な集中治療室(ICU)や人工呼吸器などもほとんどない。保健省が導入しようとしているが、扱える人材が不足しており、仮に機材を入手できても、すぐに使いこなせるようにはならないのだ。

 「MSFが活動しているほとんど全ての国で感染が起きている上、主要拠点がある欧州の状況悪化のため、物資や人材を要請してもこちらまで回らないことがあった」と平井さんは窮状を訴える。

 ソマリランドのような場所で高度な医療を実施するには、機材だけでなく人材も一緒に派遣してもらう必要がある。平時ならそれが可能だが、パンデミック(世界的流行)により各国が国際移動を規制しているため難しくなっている。仮に専門家がソマリランドまでたどり着いても、2週間の隔離が終わるまでは活動を始められない。

 平井さんによると、ソマリランドの保健省は3月下旬、新型コロナ感染の発生に備え、結核病棟の入院患者を自宅に帰して病床を確保した。結核患者らは毎週自宅に連絡し、体調や服薬の確認をしているが「病状が悪化しないか心配」という。

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和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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