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コロナで自宅待機の80代男性が死亡 埼玉・入院待ち207人、保健所「病院見つからない」

「もっと早く入院できなかったのか」と語る男性の長男(右)と孫=埼玉県内で5月1日、椋田佳代撮影

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 新型コロナウイルスに感染した埼玉県内の80代男性が4月中旬、病院に入れずに自宅待機となっている間に急変し、搬送された病院で死亡した。男性の遺族は早期の入院を望んだものの、埼玉県では当時、感染者約200人が入院待ちの状態で、保健所から「重症者から入院させる。順番がある」と説明されていた。遺族は「しゃべれないほど重い状態だった。放置されたも同然だ」と県の対応を批判している。

 遺族によると、男性は80代の妻と2人暮らしで、4月上旬から発熱やせきなどの症状があり、近所の病院を受診。処方された解熱剤を飲むなどして自宅療養していた。同13日に症状が悪化して同県所沢市の病院に救急搬送された。しかし、入院の必要はないと判断され、PCR検査(遺伝子検査)を受けて帰宅した。

 男性は15日に狭山保健所(同県狭山市)から電話で陽性を告げられた。妻は「頼むから早く入院させてほしい」と依頼したが、保健所からは「重症者を優先して入院させている」などと返された。夜に再び保健所から「病院は見つからなかった」と連絡があったという。

 男性は16日に自宅で呼吸困難となり、再び所沢市の病院に救急搬送された。だが、重篤な状態だったためその日のうちにより高度な治療ができる県内の別の病院に運ばれた。集中治療室で人工呼吸器を付けたが27日に死亡した。妻も男性の入院後に感染が判明し、現在は別の病院に入院している。

 厚生労働省は高齢の感染者は原則入院との指針を示している。埼玉県は男性の陽性が確認された4月15日時点では「感染者は全員入院させる」と決めていた。しかし、当時、入院先が調整できない自宅待機者が207人おり、順番待ちの状態だった。保健所はその間、電話問診で症状を把握し、必要があれば医療機関につなぐ態勢をとっていた。

 男性の長男(55)は「状態を目で見ず『電話で』というシステムは無責任。症状が軽くみられたのではと思う」と憤る。男性の孫(24)も「最初の救急搬送の翌日に祖父に電話したが、せきがひどくて話もできない状態で、食事も取れていなかった。保健所の判断には疑問がある。もっと対応が早ければ違ったのでは」と不信感を口にする。

 埼玉県の大野元裕知事は今月1日に男性の死亡の経緯を報道陣から質問され、「陽性が判明したのは夕方で、夜に再び連絡した際は男性が就寝中だったため、翌朝に調整することになった。調整は適切だったと思う」と述べた。狭山保健所は個別の感染者については答えられないとした上で、「通常はまず医師が入院の必要性を判断している。現在は自宅待機の解消に向けて病院やホテルに入れるよう調整している」とコメントした。【椋田佳代、島田信幸】

男性が亡くなるまでの経過

4月上旬 発熱などの症状が出る

13日 症状が悪化して救急搬送されるが、入院の必要はないと判断され帰宅

15日 陽性が判明。入院を求めた家族に対し、保健所は「重症者を優先して入院させている」と回答。入院はできず

16日 呼吸困難となり救急搬送される。重い状態で高度な治療ができる病院に入院

27日 集中治療室で死亡

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