大林宣彦監督を最後に単独で取材したのは、「花筐/HANAGATAMI」公開前のことだった。取材はいつも冗舌な監督の独壇場、しかもそのまま記事になりそうな話し上手である。予定の時間はたいてい過ぎるから、後は空けておくのが常だった。
この時はがんとの闘病で痩せて声の張りもなかったものの、いつも以上の熱弁だ。戦争体験、奥様とのなれそめ、映画哲学まで、予定を1時間過ぎても終わる気配がない。様子を見に来たスタッフを「大事な話をしているんだから」と制してなお語り続けた。力を込めたのは戦争への危機感であり、映画が果たすべき役割について。語り残しておかねばとの思いがヒシヒシと伝わった。
“次回作”の話題も出たが、実現するか危ぶんでいた。ところがすぐ後で、撮影に入ったと聞いて驚いた。盛夏の広島で車椅子から、300人以上のスタッフ、出演者を指揮したという。「2時間程度」というプロデューサーの要請を押し切った3時間の大作。公開延期中の「海辺の映画館 キネマの玉手箱」である。
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