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社説

中距離弾の日本配備論 軍縮の道こそ探るべきだ

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 米露両国による中距離核戦力(INF)全廃条約の失効を受け、中距離ミサイルを日本に配備する案が日米間で浮上している。

 アジア配備の検討を進める米国が在日米軍基地などを候補に日本側と協議しているという。

 中距離ミサイルを大量に保有する中国に対抗する狙いがある。一部のミサイルは米領グアムや米軍がいる日本を射程に入れている。

 米国が日本にミサイルを配備すれば、米中露による激烈な軍備拡張競争につながる。その最前線に日本が立つ危険な構想だ。

 核弾頭は搭載しないというが、迎撃用ではない攻撃的なミサイルの配備は国の専守防衛の基本方針や国民感情からも許されまい。

 中国が保有する中距離ミサイルは2000発近くある。INF条約の対象外で制約を受けない中国がミサイル技術を開発し、保有数を増やしてきた。

 日本など周辺の同盟国に中距離ミサイルは一発もない。アジア地域の著しい不均衡を是正する必要があるというのが米国の主張だ。

 だが、この溝を埋めるだけのミサイルを配備して抑止力を高めるためには、膨大な時間と費用がかかる。現実的とは思えない。

 量ではなく質で対抗するとしても、最新鋭の高性能ミサイルの開発にしのぎを削れば歯止めのない軍拡が進む。米軍が新型ミサイルを潜水艦に「核付き」で搭載する可能性もある。アジアでの核の脅威は増大するだろう。

 日本配備論は中国をけん制して軍縮交渉に引き込むための手段という見方もある。そうだとしても緊張を高める危うい外交戦術だ。

 むろん中国の力による海洋進出は看過できない。新型コロナウイルス対応に世界が追われる中での一方的な活動は厳に慎むべきだ。

 大国間の軍拡競争が過熱して相互不信が募れば、冷戦時代の緊張感が再び世界を覆うことになる。

 今春予定された核拡散防止条約(NPT)再検討会議は新型コロナの影響で延期された。これによって条約が要請する核保有国の軍縮交渉が停滞してはならない。核兵器を持つ中国は交渉を拒まず、積極的に応じる義務がある。

 日本は対米追従から脱し、米露に中国を加えた新たな時代の軍縮交渉の実現にこそ努力すべきだ。

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