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社説

コロナと高齢者ケア 「介護崩壊」招かぬために

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、高齢者施設での集団感染が相次いでいる。厚生労働省によると、全国250件の集団感染のうち40件が高齢者施設で発生した。医療機関の85件に次ぐ多さだ。

 高齢者が感染した場合、重症化するリスクが高い。毎日新聞の4月14日の集計では、死亡者の2割弱が高齢者施設の利用者だった。欧州の一部では死亡者の半数前後が高齢者施設に集中している。

 介護サービスは、通所施設や訪問介護を含めて高齢者の生活や健康を支えている。

 食事や入浴、排せつのケアはもちろん、歩行訓練などリハビリも体を寄せて行う。感染リスクと隣り合わせだ。認知症の人は、自分でマスクを外したり施設内を歩き回ったりする場合があり、感染のリスクは高まる。

 感染拡大で重要なサービスを維持できない「介護崩壊」につながる恐れがある。しかし、国や自治体の支援が十分に届いていない。

 労働組合などは職員への特別手当を求めている。政府は手当を出す事業者に助成する方針だが、利用者が感染した場合に限定する。拡充を検討すべきだ。

 感染防止のため、通所施設では入浴などのケアに絞っている例もある。厚労省はサービス減少で報酬が減らないよう特例措置をとっているが、経営に余裕はない。

 自粛で利用者が減った場合は減収につながる。事業中止に追い込まれないよう、目配りが必要だ。

 介護職場はもともと慢性的な人手不足状態にある。感染拡大で仕事を一時的に休む職員もいるという。負担増で離職者が続出すれば持ちこたえられない。政府や自治体は、介護職経験者に復帰を促すなど人材確保を進めるべきだ。

 入手しにくいマスクや消毒薬は、医療機関と同様に政府が供給する仕組みが必要ではないか。

 入所施設で感染者が出た場合、入院までの間は施設内で経過をみざるを得ない。職員は感染対策の専門家ではない。自治体は、施設や職員への感染防止マニュアルや助言の提供など、支援を工夫してほしい。

 介護サービスは高齢化社会を支える基盤だ。政府や自治体は、介護の現場を守るために全力を挙げなければならない。

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