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休業飲食チェーンが副業あっせん スーパーなどに従業員派遣 「業界またいで雇用維持」

「まいばすけっと」で働く「塚田農場」の佐藤亜希子さん=東京都大田区で2020年5月10日、宮武祐希撮影

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休業中の飲食チェーンが、スーパーマーケットなどに従業員の派遣を始めている。休業が長期化するなか収入が減少している従業員を支えるのが目的で、企業が自ら副業のあっせんに乗り出した形だ。在宅勤務の増加などで混雑するスーパーは人手不足に拍車がかかっており、業界を超えた人材のやりくりが雇用維持の新たな方策になるか注目されそうだ。

「塚田農場」で勤務していたときの佐藤亜希子さん(左)=本人提供

 「いらっしゃいませ」。イオン傘下の食品スーパー「まいばすけっと」の東京都大田区内の店舗でレジに立つ佐藤亜希子さん(24)は、大手居酒屋チェーン「塚田農場」などを展開する「エー・ピーカンパニー」(東京都)の社員だ。東京・新橋駅近くの店舗でホールスタッフとして働いていたが、店は4月2日から休業。佐藤さんも自宅待機となったが、エー社の紹介で5月からこのスーパーで働き始めた。エー社とスーパー側の話し合いで、面接なしで採用。エー社の社員のままスーパーとアルバイトの雇用契約を結び、働いた分の給与はスーパーから直接支給される。佐藤さんは居酒屋にはない商品の陳列作業などに当初は戸惑ったというが、「今は慣れてきた」という。

 傘下の飲食チェーンを全店休業中のエー社は、休業当初、社員の給与を全額補償していた。だが、休業が長期化するなか人件費の負担は重く、補償額を6割に減らさざるを得なくなった。そのため、従業員の減収を補おうと副業の紹介に踏み切った。エー社の担当者によると、休業を決めた直後からスーパーや大手物流会社、宅配ピザチェーンなどから従業員受け入れの申し出が相次いだという。約850人の社員のうち約半数が希望し、現在計13の受け入れ先で勤務。5月以降は約3500人のアルバイトにも対象を広げ、約50人が他社で就業中だ。

 エー社は、「社員への生活費の無利子貸し付けなどできる限りの支援策を用意しているが、雇用維持のための苦渋の選択」と話す。アルバイトを含め計111人のエー社の従業員を受け入れている「まいばすけっと」の担当者は「業界をまたいで雇用維持に協力したいと考えた。人手不足のなか助かっている」と話す。

 4月13日から全国約400店を休業している居酒屋チェーン「ワタミ」も、5月4日に食品スーパー「ロピア」(川崎市)と1カ月更新の社員の出向契約を結んだ。現在、社員約130人がロピアの店舗で働いている。食品スーパー大手「ヤオコー」(埼玉県)も、大手外食チェーンの社員を短期アルバイトとして受け入れている。

 飲食業界は新型コロナ感染拡大前は人手不足で、休業で苦しくても営業再開後をにらむと雇用の維持は欠かせない。また、アルバイトらを解雇した場合は、企業の評価を損なう恐れもある。リクルートワークス研究所・萩原牧子主任研究員は「企業自らが副業先を紹介する今回の動きは、解雇せずに従業員の生活の糧を確保する手段として評価できる」と話している。【町野幸】

キーワード「副業」

 本業以外に従事する別の仕事。少子高齢化に伴う人手不足や、「勤務先以外でも能力を生かしたい」という働く人のニーズなどを背景に、政府も働き方改革の一環として推奨している。

 これまでは本業がおろそかになったり従業員の健康管理が難しくなったりするとの懸念のほか、情報や人材流出の恐れもあるとして、多くの企業が就業規則で副業を禁止してきた。だが、従業員が副業で得た経験や人脈を本業で生かせるといったメリットに注目が集まり、大企業を中心に副業を解禁する動きがここ数年目立っている。ソフトバンクや新生銀行、三菱地所などが解禁しているほか、アサヒビールも今年1月から勤続5年以上の社員の副業を認めた。

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