メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

新型コロナ最前線~特派員レポート<北米・南米>

大通り隔てて「営業」「休業」 米州境の街、戸惑う住民 経済再開異なる指針

[PR]

道路をはさみ手前のテネシー州側のレストランに掲げられた「営業中」の看板。反対のバージニア州側は休業を余儀なくされていた=米南部ブリストルで11日、高本耕太撮影
米国ブリストル

 新型コロナウイルス感染拡大阻止のための行動規制を緩和し、経済再開の動きが徐々に進む米国で、州ごとに異なる再開指針に戸惑う街がある。南部テネシー、バージニア両州の州境ラインが中心部を貫く小都市ブリストルだ。目抜き通りでは、テネシー側でレストランが営業する一方、道を隔てたバージニア側では大半の店が休業を余儀なくされていた。

 ブリストルは首都ワシントンから南西へ車で約6時間。カントリー音楽の発祥地として知られる。自治体としてはテネシー側とバージニア側に分かれる二つの都市だが、水道や救急医療体制、図書館などを共有する「一つの街」だ。人口は合わせて約5万人。住民は普段、州境を意識することなく往来している。ブリストルの感染者は数人にとどまっている。

道路の手前バージニア州側で店舗の休業が続く一方、反対のテネシー州側では多くの店が営業を再開していた=米南部ブリストルで11日、高本耕太撮影

 テネシー州では、テーブルごとの客数制限など感染予防措置をとることを条件に、4月27日から飲食店の営業再開を容認した。一方、バージニア州は店内での飲食提供を認めておらず、違反営業した店主には罰金が科せられる。

 テネシー州の感染者数は現在約1万6000人で、死者は約250人。トランプ米大統領と同じ共和党のリー知事は「感染拡大は抑え込めている」として落ち込んだ州経済の立て直しを急ぐ。一方、バージニア州の感染者は約2万5000人で、死者は約900人。依然増加傾向が続くが、多くはワシントンに隣接する州北部で確認されたケースだ。

 11日に訪れたブリストルの目抜き通り「ステート(州)ストリート」に面したバージニア側の飲食店は大半が休業中だった。持ち帰り販売は許可されているが、市街地の店舗ではこれまで収益の柱は、店内飲食による売り上げだった。カフェとギフトショップを経営するカレン・へスターさん(54)は「休業が2カ月目となり、経営はとても苦しい。道の反対側では店が開いているのに」と嘆いた。

 かたや30メートル離れたテネシー側では食堂が営業していた。1カ月超の休業で1万ドル(約107万円)を超える売り上げを失ったという共同経営者のジョイス・ブラウンさん(54)は「再開できてすごくうれしい。ほっとしている」。一方で、バージニア側の店主たちのことを思い「気の毒だ。道路に線が引かれているだけで、私たちは一つの街なのに」と顔を曇らせる。

 州の違いに関係なく、各店舗が加盟するブリストル商工会のベス・ラインハート会長は「地元経済の半分だけの再開は、経営者だけでなく、住民も困惑させている。全体が再開しない限り、街の活気は戻らない」と苦悩を語った。

 バージニア州のノーサム知事(民主党)は今月15日に経済再開に向けた制限緩和の「第1段階」に進む方針を示しているが、それでも飲食店の営業はテラスなどの「屋外」に限定される。ラインハート会長は「安全が最優先だから、両州知事の決定を尊重する。でも地域の事情に即した判断をしてほしい」と願っている。

 トランプ大統領は経済再開について前のめりな姿勢を示しているが、具体的な緩和指針や時期については各州の判断に委ねている。【ブリストルで高本耕太】

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ホンダ熊本が8強入り決める JR東日本は打線が沈黙 都市対抗

  2. 「菅語」を考える 論理的でない受け答え「首相の器ではない」 上西充子法政大教授

  3. 競馬ジャパンカップ アーモンドアイが有終の美 引退レースで最強証明

  4. 乱交パーティー数十回主催 福岡県警職員を懲戒免職、売春防止法違反で起訴

  5. #排除する政治~学術会議問題を考える 新しい形態の学問弾圧「菅首相は歴史に名前が刻まれる」 木本忠昭・日本科学史学会会長

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです