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原発避難の独居高齢者、コロナで交流できず 孤立の恐れ 福島・いわき

畑の管理を続けながら被災者が戻るときを待つNPO法人「ザ・ピープル」理事長の吉田恵美子さん=福島県いわき市で2020年5月1日午後2時18分、柿沼秀行撮影

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 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災者らが暮らす災害公営住宅(復興住宅)では交流会が開けず、「1人暮らしの高齢者が孤立を深めるのでは」と心配する声が上がっている。定期的な交流会でようやく顔を見せる人も出てきただけに、支援者は「早く元の生活に戻って顔を合わせられる日が来るのを待っている」と望んでいる。【柿沼秀行】

 福島県いわき市勿来(なこそ)の復興住宅「勿来酒井団地」。2018年春に入居が始まり、双葉町民を中心に約140世帯が暮らす。4月下旬、団地の中央にある広場は、散歩の親子連れと高齢者がちらほら。ことさら大きく響くウグイスの鳴き声を背に、ある女性は「閉じこもってばかりでもしょうがない」と、草取りに精を出していた。

 「毎週水曜、団地内の集会場でお茶会をしてきたんだけどね」。自治会長の国分信一さん(70)が言う。お茶会は昨年9月に始め、女性を中心にパッチワークなどを作って楽しんでいる。

 だが、政府が4月7日に東京都などに緊急事態宣言を発令したのを受け、お茶会は中止に。始めた頃の参加者は4、5人だったが、最近は4月に初めて顔を出した人もおり、10人ほどに増えたところだった。

 国分さんによると、この団地では1人暮らしの高齢者が4~5割を占める。「特に閉じこもっている男性に出てきてほしい」と、男性が好きそうな企画をしてきた。それが新型コロナウイルスの感染拡大で6日に予定していた地元の歴史探訪も延期に。「グラウンドゴルフの話も飛んだ」。少しずつお互いの顔が見え始めただけに、顔色はさえない。

     ◇   ◇

 いわき市小名浜の山間地に、「みんなの畑」と書いた手作りの看板が立てられた一角がある。40アールほどの畑でオーガニックコットンやスイカ、カボチャ、キャベツなどを栽培している。

 運営するのは同市のNPO法人「ザ・ピープル」。5年ほど前から毎月第2金曜に、市内で暮らす富岡、双葉町などからの避難者をはじめ、地元住民も加わって農作業に汗を流してきた。

 NPO理事長の吉田恵美子さん(63)は「ここは男性の参加者が多く、楽しみにしている人も多かったんですよ」。それが新型コロナの影響で4月からは中断。多いときで約20人が集まり、高齢者も多いことから、見送ることにした。今はNPOのメンバーらで種まきや草むしりをしつつ「なんとか6月に再開できればいいけど」。実りの秋には元通り、みんなで収穫を祝いたいと願っている。

 県内の復興住宅でコミュニティーづくりを支援するNPO法人「みんぷく」(いわき市)の長谷川秀雄理事長(66)によると、震災から9年が経過し、被災者は交流会などに参加する人と、家にこもる人が固定化しつつあるという。「イベントがあるたびにチラシを配るなどして接してきたが、そんな機会も奪われ、1人暮らしの人は孤立を深めているのではないか。早くこの状況が収まって、顔の見える支援ができるようになれば」と話している。

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