毎日新聞
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規則が細々として、わずらわしい手続きが求められる役所の流儀をいう「繁文縟礼(はんぶんじょくれい)」は、今やほとんど死語だろう。しかしこの四字熟語がすたれたのは、役所のしゃくし定規や形式主義がすたれたからではない▲繁文縟礼を英語で「レッドテープ」というのは、昔の英国の役人が公文書を赤いひもで縛っていたからである。融通(ゆうずう)のきかない役所の形式主義――「レッドテーピズム」が庶民のうらみやつらみの標的になるのは洋の東西を問わない▲コロナ禍による事業主や雇用者らの経済的打撃の救済策にスピードが求められることは繰り返し強調されてきた。だが助成金や給付金などの制度はできても、最初の申請手続きで目詰まりが起きているケースがあちこちで伝えられる▲評判の悪いのは雇用調整助成金で、申請に用いる専門用語は難解、必要な添付書類が多すぎると悲鳴が聞こえる。行政も必要書類の削減など対策はとったが、飲食やサービス業など同制度と縁の薄かった事業主は戸惑うばかりという▲収入が半減した個人事業主への持続化給付金はオンライン申請が原則で、パソコンやスマホを使えない高齢事業者からの相談が殺到したという。どの支援も申請段階で滞ることが多く、疲弊する窓口の係官も繁文縟礼の被害者だろう▲役所が書類を求めるのは公正のためだが、そう言われればここ何年かの政府の公文書管理のでたらめを思い出さざるを得ない。自らは縛られず、緊急事態に苦しむ国民だけを縛るレッドテープはごめんだ。
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