メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

よみがえる田中正造

死の川に抗して/15 哀訴嘆願を官吏が曲解=中村紀雄 /群馬

川俣事件衝突の地。この道を直進した突き当たりに利根川堤防がある=群馬県明和町で

 「地方官吏の誤解」の点に至っては、木下尚江の記述は一層の説得力をもって読む人の胸を打つ。彼は、権力側の誤解の構造を次のように分析する。

 中央政府は地方官吏の手と口を通して事情を知るから、地方官に誤解があれば中央政府は真実を知り得ない。そして、地方官は被害の状況を正しくつかんでいなかった。つまり誤解があったのだ。この点について木下は現地に足を踏み入れてみて、その惨状は伝え聞く以上だと驚くのである。田園は不毛に帰し、毒の土は塚となり(毒塚と称した)、川に魚なく、竹やぶは枯れ、春に鳥は巣をつくらず、小児の中には蛇を知らぬ者がいた。

 また、農家の主婦が野菜を買っている姿は被害の極致を示すものと訴える。更に木下は中央政府の誤解の根本的原因を指摘する。地方官は住民に接する場合に深く同情すべきなのに驚くほど冷淡で、しかも被害民の哀訴嘆願を虚偽の行為と曲解し、それを一部の者がそそのかしていると見ている。これは大誤解であると同時に、鉱毒地の人民を暴民団体と解する原因となっていると訴える。そして「余はこの最下級官吏の誤解が上に伝えられ、…

この記事は有料記事です。

残り847文字(全文1313文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 療養ホテル、沖縄は1カ月半「ゼロ」 菅氏が批判、知事は「予想より早く感染者増えた」

  2. PCR陰性の20代を誤って陽性者の宿泊施設に 福岡市が陳謝

  3. 腹の虫がおさまらない?マメガムシ食べられてもカエルの尻から脱出 神戸大

  4. ベトナムで感染力強い型のコロナ流行か 首相「拡大防止へ重要な時期」

  5. 療養ホテル確保数「ゼロ」の沖縄に不快感 菅氏「何回となく促した」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです