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余録

お客が自分の席で食べたい料理を注文するレストランのような外食が始まったのは…

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 お客が自分の席で食べたい料理を注文するレストランのような外食が始まったのは、欧米では18世紀という。日本では17世紀の明暦の大火の後に繁盛した奈良茶飯(ならちゃめし)の店が江戸の外食文化を開花させたといわれる▲「五歩に一楼(いちろう)、十歩に一閣(いっかく)、みな飲食の店ならずという事なし」。文人、大田南畝(おおたなんぽ)が飲食店のひしめく江戸の街をこう随筆に記したのは、19世紀初めの文化年間である。当時の江戸は8000軒近い飲食店があったという記録もある▲単身赴任の地方武士や独身男性の比率が大きく、人口も多い江戸は当時の世界でも珍しい外食都市だったようだ。天ぷら、そば、すし、うなぎ料理から会席料理まで、今日の世界的な和食評価につながる豊かな食文化を育んだ外食だ▲そんな外食文化の曲がり角になるのか。新型コロナ時代の飲食の「新しい日常」である。先日、外食業界団体が公表した指針では客の間は最低1メートルの距離、座席の横並びや間仕切りの使用、定数以上の客の入店制限などが掲げられた▲大皿料理のシェアや、卓上に調味料を置くのを避けるといった外食の風景を変える要請もある。客に会話を控えてもらうというのは感染防止にはもっともな話だが、昔の江戸っ子が聞いたら「てやんでえ」のたんかの一つも出そうだ▲できることから始めようという指針だが、飲食業者がさしかかった難所の険しさ、厳しさを表す新しい日常の基準である。ここは外食文化の富を分かち合ってきたお客の心意気も試される難所なのだろう。

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