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社説

検察庁法改正案 疑念は何も解消されない

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 批判の声に耳を傾けず、数の力で押し切る。安倍晋三政権の強引な手法がまた繰り返されるのだろうか。

 特例的に検事総長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案は週内の衆院通過こそ見送られたものの、与党は無修正で早期に成立させる方針を変えていない。

 検察幹部が役職定年を迎えても内閣や法相が認めれば延長が可能となる規定を設けたことにより、内閣が恣意(しい)的に検察人事に介入できるようになるとの疑念は解消されないままだ。政府・与党は考えを改め、やはり出直すべきだ。

 きのうの衆院内閣委員会には、野党の求めにやっと応じて森雅子法相が出席した。しかし定年延長の際の具体的基準など説得力のある答弁は相変わらず乏しかった。

 今回の問題は、政府が1月末、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定したのが発端だ。黒川氏の検事総長への道を開くための脱法的な手法であり、改正案はこの前例のない決定を正当化するものだとの批判は消えない。

 にもかかわらず安倍首相は先の記者会見で「検察官は行政官であり、改正で三権分立が侵害されることはなく、恣意的な人事が行われることは全くない」と語った。

そして内閣が検察幹部の人事を行うのは今までと全く変わらないとも述べた。

 そもそも黒川氏の人事自体が恣意的ではないかという疑念から問題が起きていることを忘れているのか。検察は首相も逮捕・起訴できる強大な権限を持つだけに独立性が担保されなくてはならない。その点も意識的に軽視している。

 元検事総長ら検察OBが改正案に反対する異例の意見書をきのう法務省に提出した。抗議の声は国民の間にさらに拡大している。

 懸念する意見は与党にもある。ところが、採決の際には退席する考えを表明した内閣委の自民党委員を即座に差し替えるなど同党執行部は異論封じに躍起だ。公明党も「しっかり説明を」と繰り返すだけでひとごとのようだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に力を注ぐべき時に与野党対立をあおる改正案の成立を急ぐのは、「当面総選挙はなさそうで、それまでには国民は忘れる」と高をくくっているとしか思えない。

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