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極私的!傑作文章列伝

吉田司『下下戦記』 ほんとの心、吐き出す=米本浩二

 <土曜カルチャー>

 水俣病がまだ「奇病」と呼ばれていた1950年代から、患者支援運動が活発化した70年代までの患者、家族の苦闘を、支援者の視点から描く。88年、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

 吉田司は45年、山形県生まれ。70年に水俣に移り、72年、湯堂の空き家に「若衆宿」を開設した。孤絶を余儀なくされていた10代、20代の胎児性患者らが、生きる意味を求めて若衆宿に集まった。吉田は患者と8年間寝食を共にすることになる。

 <転落(ころげ)た拍子に頭ば打って、泣いて吠(おめ)くとたい>。純朴で野卑な水俣方言が全編に満ちる。細かいことは後で、体裁よりも内実だ、と言わんばかりの熱に満ちた文体が未曽有の水銀被害の実態を浮き彫りにする。一方で、金銭にまつわる悲喜劇や奔放な性的欲望までをも赤裸々に描写。雑誌連載後、聖なる患者像を冒瀆(ぼうとく)する「厄災(わざわい)の書」との非難がわき起こる。単行本化までに7年かかった。

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