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藤原帰一の映画愛

ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定 予想軽やかに裏切る、地方の町の犯罪物語

 小憎らしいほど気の利いた、ちょっとブラックなサスペンススリラーです。

 最初から素直じゃありません。舞台はアメリカ東北部、メイン州の小さな漁村。普通の映画だったら、まず町の風景を遠景で撮って、そこから主な登場人物をひとりひとり紹介するなんてことになるところですが、画面に映しだされるのは港で働く男たちのコーラス。それがまたいかにも荒くれ男の歌という感じでして、歌詞だって漁師じゃなきゃおよびじゃない、待ってろ、そいつをブッ飛ばせなんて具合ですから、あ、これは男の映画かな、なんて思っちゃいますね。ところが次に映るのは、浜辺で母を見送る2人の娘の姿、そこからお葬式の場面になるんですが、牧師さんを別にすれば参列者はほとんど女性ばっかりなんです。

 ほんのわずかの間に、男ばかりの合唱から女ばかりの空間に変わってしまう。こんな映画だなと観客に先を読ませて、その予想を軽やかに裏切ってしまうわけですね。観客をからかうかのような才気にはコーエン兄弟に通じるものを感じさせます。

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