再開へ進み始めた美術館 「見に来てほしいが…」さらなる感染対策を模索
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緊急事態宣言の一部解除に伴い、臨時休館中だった各地の美術館で再開の動きが進んでいる。再開した美術館からは「準備してきた展覧会をようやく見てもらえる」と歓迎の声が上がる一方、「感染者が出たらどうすればいいのか」と不安の声も上がる。各美術館は「3密」(密閉、密集、密接)を防ぐためにさまざまな対策を取っているものの、第2波も懸念される新型コロナウイルスへの対応に、頭を悩ませる日々はしばらく続きそうだ。【高橋咲子】
初日は98人が来館 図録購入率は6倍
「午前9時の開館に合わせてお客さんが待っていてくれた。本当にうれしい」
5月12日に再開した広島県立美術館(広島市)の福田浩子学芸課長は声を弾ませる。同館は3月7日から休館し、4月2日に開始予定だった「川端龍子展」も延期を余儀なくされた。約1カ月遅れでの開始に、福田課長は「1年半の準備期間を経た展覧会。見ていただけるようになってよかった」と話す。
同館は、美術館を支援したいと県内の企業から提供されたサーモグラフィーシステムを入り口に設置、来館者を自動検温するなど細心の注意を払う。初日の5月12日には98人が訪れ、来館者の図録購入率は通常(約3%)の6倍超にあたる19%に上ったという。
感染対策で来館者の連絡先確認も
緊急事態宣言が39県で解除されたことを受け、日本博物館協会(東京都台東区)は5月14日、来館者・従事者の安全確保やリスク評価などに関するガイドラインを発表した。ガイドラインには「館内放送やボードなどによる案内を活用する」…
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