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コロナ下の経済悪化 金融危機の回避に全力を

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 コロナ禍による実体経済への打撃が深刻化している。米国は4月の失業率が戦後最悪となり、百貨店など大型破綻が相次ぐ。日本でもトヨタ自動車が今年度の連結営業利益を8割減と見込むなど企業業績の悪化が鮮明となっている。

 2008年のリーマン・ショックは米金融機関の連鎖破綻など金融危機が世界に波及し、企業投資や消費を冷え込ませた。今回は未知の感染症が企業や個人の活動を圧迫し、需要を激減させている。

 「世界大恐慌以来」とされる不況の克服には、実体経済の悪化を金融危機に「変異」させないことが肝要だ。銀行の貸し渋りが企業倒産を多発させる悪循環は何としても回避しなければならない。

 日米欧の中央銀行は3月以降、金融緩和を拡大し、市場や企業の動揺をひとまず抑えた。リーマン後の規制強化で自己資本を充実させた先進国の銀行は足元で企業の資金繰り支援に対応できている。

 だが、金融危機の火種は消えていない。コロナ以前のカネ余りに乗じて債務を積み上げた新興国や、信用力が低い企業の先行き不安が収まっていないからだ。

 ブラジルなど新興国からは投資マネーが流出している。自国通貨の急落で企業のドル建て債務が膨らみ、苦境が深まっている。

 米国では原油価格暴落に直撃されてシェールオイル企業の破綻が続いている。シェール関連など信用力が低い企業向けの融資は複数を束ねて証券化され、投資商品として売られてきた。本来はハイリスク・ハイリターンだが、世界的な超低金利下で「有利な投資」と見られてきた。

 人口減少で国内の収益基盤が細ったメガバンクなど邦銀は、この商品を大量に購入してきた。リーマン後は新興国向け融資を急増させ、欧米銀に代わる最大の貸手ともなっている。新興国経済やシェール企業などの動向次第では、多額の損失処理で自己資本が大幅に目減りする恐れがある。

 日米の株価は持ち直しているが、経済への悪影響がどこまで広がるかは依然見通せない。政府・日銀は邦銀の海外事業のリスク管理状況を再点検すべきだ。銀行への公的資金による資本注入も含むあらゆる手段を講じて、金融危機への波及を防がねばならない。

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