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余録

その昔、司法研修所で昼食後の眠たくなる時間なのに…

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 その昔、司法研修所で昼食後の眠たくなる時間なのに居眠りする修習生がいないので評判の講演があった。のっけから「悪いヤツほどよく眠る」で始まったミスター検察こと伊藤栄樹(いとう・しげき)・元検事総長の講演である▲戦後の政財界の重大事件をつぶさに見てきて、「巨悪を眠らせない」との名フレーズを残した伊藤だった。ではその悪の大小の順番はどうやってつけたのだろうか。「方法はただ一つ。検事がいつも庶民の心を失わないことである」▲「庶民がその素朴な正義感で、何に憤り、何を巨悪と認識するかを自分の体で感ずることができねばならぬ」。まことにシンプルな正義論だが、その明快さこそが戦後の検察の公正への国民の信頼をつなぎとめてきたのも事実である▲では今、コロナ禍によって暮らしと生業を脅かされている庶民は、この法案をめぐる騒動をどう見たのか。内閣が検察官の定年を特例延長できるようにする検察庁法改正案だったが、政府・与党は今国会の成立を見送ることになった▲ネットの反対世論爆発に加え、検察OBによる「検察人事への政治権力の介入を正当化する」との異例の反対意見表明も相次いだ法改正案だった。コロナ禍さなかの政府のこの見当違いを、庶民の「素朴な正義感」が許すはずもない▲結局、政権が頼みとする支持率の急落をも招くことになり、今国会の法改正は断念された。過去の疑獄(ぎごく)では検察の士気の源泉となってきた庶民のシンプルな正義が、検察の独立と中立を救った一幕である。

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