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特集ワイド

コロナ、発症前にもうつす可能性 症状なくても…マスク着用推進 需要77億人、不足に備えを

上野・アメ横商店街のかばん屋の店先で販売されているマスク。かばんの問屋からマスクも仕入れているという=東京都台東区で2020年4月22日午後1時13分、五十嵐朋子撮影

 新型コロナウイルスに感染すると、発熱やせきなどの症状が表れる前から大量ともいえるウイルスが体外に排出されることがある、ということが分かってきた。いつ、どこで人にうつしたり、うつされたりするかは見当がつかず、対面で会話をする時などはマスクの着用が欠かせなくなっている。だが、世界的な需要の拡大で、マスクの安定供給には不透明感がつきまとう。周囲の人や、自分の身を守るにはどうすればいいのか。

 1メートル以内の距離で、マスクをせずに15分以上、会話した相手が2日以内に新型コロナの症状を表すと、自分も「濃厚接触者」に――。国立感染症研究所は4月20日、保健所が健康観察の対象とする濃厚接触者の定義を一部変更した。最大のポイントは、感染者との接触時期をこれまでの「発症した日以降」から、「発症の2日前以降」に改めたことだ。世界保健機関(WHO)も3月20日に同様の見直しを行っていた。

 「新型コロナの場合、発症の2日ほど前からウイルス量が増えることが報告されています。インフルエンザも発症1日前から人にうつす可能性があるのですが、それでも症状が悪化するにつれてウイルス量が増えていく。つまり、新型コロナは、発症前の感染者が気づかぬうちに人にうつしてしまったケースが思いのほか多いと考えられるのです」。そう語るのは公衆衛生学が専門の和田耕治・国際医療福祉大教授だ。

 新型コロナの感染ルートは、ウイルスを含んだ感染者のせきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスがついた物に触れた手で自分の口や鼻などを触る「接触感染」の二つが考えられる。ほかに、閉鎖空間で多くの人と近距離で会話するなどの環境では、せきやくしゃみなどがなくても感染拡大のリスクがあるとされる。

 マスクは飛沫の拡散が抑えられるため、感染者が着用すると人にうつすことを防ぐ効果があるが、非感染者が着用しても、うつされずに済む効果はあまり期待できない。従って、一般的には元気な人がマスクをする必要はないとされてきたが、最近は風向きが変わりつつある。新型コロナの場合、元気に見える人でも発症前や無症状の感染者である可能性があるからだ。

 以前の欧米各国では、マスクは病人がつけるイメージが定着していた。ところが、米疾病対策センター(CDC)は4月3日、新型コロナの症状がなくても外出時は布製のマスクを着用することを推奨するとの見解を発表し、健康な人がマスクをしても「感染予防には意味がない」とする従来の立場を一転させた。日本の政府専門家会議が5月4日に提言した「新しい生活様式」の実践例にも、「外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用」と明記された。

 和田教授は言う。「人と接する時は最低1メートル、できれば2メートルの距離を取り、マスクをつける必要があります。マスクがなければ、ハンカチなどで口を覆ってほしい。症状がなくても人にうつすかもしれないという前提に立って、お互いを思いやることが求められています」

 しかし、国内の薬局やスーパー、コンビニなどの大手小売店では、1月下旬ごろからマスクの品薄が続いた。一方、最近ではマスクとは縁遠い雑貨店や飲食店などのほか、インターネット通販で50枚入りが数千円で大量に売られている。

 以前より高値になった理由について、流通アナリストの渡辺広明さんが解説する。「日常的にマスクを使う習慣はこれまでアジア諸国にしかありませんでしたが、今では世界人口77億人がマスクを求める環境になっています。世界中のマスクの半分を作っていると言われる中国では新規参入が相次ぎ、生産量が感染拡大前の1日2000万枚から2億枚以上に急増しました。そのため不織布などの原材料費が高騰しているのです」。確かに、国の調査によると、1枚当たりの仕入れ価格は、感染拡大前の5~7円程度から、4月には35~50円程度に上昇した。

 では、小売り大手の店頭になかなか並ばないのはなぜか。「あるスーパーが…

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