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命を守る姿勢、おろそかにし過ぎ 宗教学者・島薗進さん

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インタビューに答える島薗進・東大名誉教授=東京都千代田区の上智大学で2019年11月5日、丸山博撮影
インタビューに答える島薗進・東大名誉教授=東京都千代田区の上智大学で2019年11月5日、丸山博撮影

 宗教学者の島薗進・東京大名誉教授は、東京電力福島第1原発事故などをテーマに、国家と科学、倫理の関係を問い続けてきた。今回の政府の新型コロナウイルス対策を「大企業中心の経済を重視するあまり、『命を守る』という公共政策の根本部分について出遅れがあった」と厳しく批判する。さらに政府と専門家会議について「なれ合いの関係で政府の責任があいまいになり、科学の独立性も損なわれる恐れがある」と警鐘を鳴らす。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

「感染者出ても目立たないようにやり過ごす」姿勢に違和感

 ――これまでの政府の新型コロナ対策をどのように見ていますか。

 ◆早くからから疑問を感じていました。2月に横浜港に停泊中のクルーズ船で感染が広がった時から、PCR検査(遺伝子検査)はなかなか進まず、下船する人にも検査を行っていませんでした。また、5月上旬にようやく見直しましたが、検査に向けた相談をする目安として「37度5分以上の熱が4日以上」と掲げたことにも驚きました。例えば高齢者が39度の高熱のまま待たされたら、命に関わります。「命を守る」という公共政策の根本部分がないがしろにされていると多くの国民が感じたと思います。その後も、日本のPCR検査数は、先進国の中で特に少ない状態が続きました。「感染者が出ていても、できるだけ目立たないようにしてやり過ごそう」という姿勢に見えました。

 また、休業に対する施策も不十分で、遅かったといえます。緊急事態宣言を出しても欧米のような補償を前提としたロックダウン(都市封鎖)ではなく、政府は「自粛要請だから補償はしない」と早々に断言しました。その後支援策は示されましたが、財源不足を理由に範囲が限定的で有効性が分かりにくい上、決定にも給付にも時間がかかっています。自粛要請された中小企業や個人事業主、非正規労働者らはいまだに今後の生活に強い不安を感じ、実際に困窮する人も出ています。これも命を守ることがおろそかにされていると感じます。

進まないPCR検査 「新自由主義経済の政治影響」

 ――なぜ「命を守る」ことがないがしろにされているのでしょう…

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